インドネシア人を採用したい。とはいえ、日本人とは異なる文化や環境でどうしたらいいか分からない。そんな方へ、インドネシア人の採用活動を行う上で理解しておきたい事をまとめました。この記事では、インドネシアのジャカルタやチカランといった主要都市での人材採用のポイントや、現地のワーカーやスタッフ、さらにはマネージャーの求人に関する情報を詳しく解説します。インドネシアの人事、採用環境における重要な要素を把握し、効果的な採用活動を目指しましょう。
目次
インドネシア人の特徴や働き方への考え方
まずはインドネシア人ならではの慣習や仕事に対する考え方を理解しましょう。
- コミュニケーションスタイル
インドネシアの文化では調和を重んじる傾向が強いです。対立を避け、穏やかな関係を維持しようとするため、直接的な対立を避けることがあります。なので声を荒げて批判したり、感情的に個人を攻撃するようなコミュニケーションは避けた方がよいでしょう。
ジェスチャーや表情を多用することが非言語的なサインに注意を払うことが重要です。 - 職場文化
インドネシアでは家族が非常に重要な存在であり、職場でも家族的な雰囲気を重視する傾向があります。チーム内での結束やサポートが強調されます。また上下関係を重視する文化があり、年齢や職位に対する敬意を払うことが一般的です。上司の指示に従うことが期待されます。インドネシアの主要都市であるジャカルタやチカランでは、人事の観点からもこのような文化的背景を理解することが、ワーカーやスタッフの効果的なマネジメントに繋がります。 - 労働習慣とモチベーション
ワークライフバランス:家族やプライベートの時間を大切にするため、ワークライフバランスを重視する傾向があります。残業はあまり好まれないことが多いです。報酬や昇進といった外的な要因だけでなく、自身の仕事が社会に対してどのように役立っているかを理解することで、モチベーションが高まります。 - 教育とスキル
インドネシアの教育水準は向上していますが、地域によって差があります。ジャカルタやチカランなどの大都市では、高い教育を受けた人材が多く、語学力(特に英語)がある人も増えています。職務に必要なスキルを向上させるためのトレーニングや教育に積極的です。キャリアアップのために新しいスキルを習得することに前向きな姿勢を持つワーカーやスタッフは、企業にとって貴重な資産となります。
インドネシア人の採用やマネジメントにおいては、これらの文化的背景や価値観を理解し、尊重することが重要です。調和を重んじる姿勢や家族志向、ヒエラルキーの尊重といった特徴を踏まえた対応を心がけることで、円滑なコミュニケーションと効果的なチーム運営が可能になります。特にジャカルタやチカランでの人材採用においては、これらの要素を考慮することで、適切な求人活動を行うことができます。
インドネシアにおいてスタッフやワーカーに怒ったり感情的に指摘する事は良くないと聞きますが、それは何故か。理由はイスラム教では怒る事、感情的になる事はNG(罪)にあたるからです。あれが悪い、これが悪いと感情的に指摘してもあまり伝わらず、改善するどころか関係性が悪くなって終わりという経験がよくありました。
<改善ポイント>
指摘のアプローチを変え『このミスで私は非常に混乱しました。』や『この確認が無いので悲しくなりました」と伝えたところ、素直に謝罪の言葉と改善が。アプローチの方法を変えてみるのも大事ですね。
インドネシア人を雇用する際の注意点や配慮するといい点
重要なポイントを3つに絞ってまとめてみます。
- 文化的および宗教的配慮
インドネシアの多くの人々はイスラム教徒です。礼拝の時間やラマダン期間中の勤務時間の調整、イスラム教の祝祭日に休暇を提供するなどの配慮が必要です。インドネシア人の採用や求人活動においては、宗教的な配慮を重視することが重要です。コミュニケーションは直接的な批判や否定を避け、柔らかい表現を用いることが大切です。対立を避け、協調的なコミュニケーションスタイルを心掛けましょう。特にジャカルタやチカランなどの地域では、このような文化的背景を理解することが、人材の採用と人事管理において非常に役立ちます。 - 職場環境と労働条件
インドネシア人は家族や人間関係を重視します。チームビルディング活動や社員同士の交流を促進し、家族的な雰囲気を作ることが重要です。インドネシアでの人材採用において、ワーカーやスタッフが安心して働ける職場環境を提供することが求められます。ワークライフバランスという視点では、家族との時間を大切にする傾向があるため、過度な残業を避け、柔軟な勤務時間やリモートワークの導入を検討することが推奨されます。ジャカルタやチカランの企業でも、こうした配慮を行うことで、採用した人材の定着率を高めることができます。 - 教育とキャリア開発
スキルアップの機会を提供することは、インドネシア人のモチベーションを高めるために重要です。インドネシア人はキャリアアップを重視するため、定期的なトレーニングやスキルアップの機会を提供することが大切です。また、明確なキャリアパスを示すことで、従業員が自身のキャリアパスを理解しやすくし、モチベーションを高めることができます。インドネシアのジャカルタやチカランでの求人活動においても、こうしたキャリア開発の機会を強調することで、優秀な人材を採用しやすくなります。人事部門は、マネージャーやスタッフに対して継続的な教育とキャリア支援を行うことで、企業全体の成長を促進することに繋がります。
インドネシア人雇用に関するルール(試用期間や契約形態など)
インドネシア人を雇用する際の基本的なルールについて、試用期間や契約形態などをまとめてみます。
試用期間(Probation Period)
・期間
インドネシアの労働法では、試用期間は最大で3ヶ月とされています。これを超える試用期間は法律違反となります。
・契約書
試用期間については、雇用契約書に明記する必要があります。試用期間中の条件や評価基準も明確にしておくと良いでしょう。
・評価とフィードバック
試用期間終了時には従業員の評価を行い、正式採用に関する決定を行います。フィードバックは具体的で建設的なものにすることが重要です。
契約形態(Employment Contracts)
インドネシアでは、主に以下の2種類の雇用契約形態があります。
有期契約 (Fixed-Term Contract) |
無期契約 (Permanent or Indefinite-Term Contract) |
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・期間 有期契約は特定の期間にわたって有効で、最大2年間とされています。契約は一度だけ1年間延長することができます。 ・更新 ・終了 |
・安定性 無期契約は安定した雇用形態を提供し、従業員の長期的な雇用を確保します。 ・解雇 ・退職金 |
労働時間と休暇(Working Hours and Leave)
インドネシアの労働法における規定は以下の通りです。
法定労働時間 | 週40時間(1日8時間、週5日)または週48時間(1日7時間、週6日) 残業は法定時間内で許可されていますが、追加の手当が必要 |
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休暇 | 年間12日の有給休暇が付与されます。加えて、法定の祝日や宗教的な休暇もあります。 |
最低賃金 | 地域ごとに定められた最低賃金を遵守する必要があります。毎年政府によって調整されます。 |
社会保障 | 従業員はBPJS Ketenagakerjaan(社会保障機構)とBPJS Kesehatan(健康保険機構)に登録する必要があります。これにより、従業員は労働災害保険、年金、医療保険などの社会保障を受けられます。 |
労働組合 | 従業員は労働組合を組織する権利があり、労使交渉や労働条件の改善を図ることができます。 |
これらの規定を遵守することで、インドネシアでの雇用が円滑に進むと共に、従業員との信頼関係を築くことができます。インドネシアの労働法は頻繁に改正されることがあるため、最新の法規制を常に確認することが重要です。
インドネシア人の給与相場
インドネシア人の給与相場は、地域、職種、経験、企業規模などの要因によって大きく異なります。以下に一般的な給与相場の概要をまとめてみました。
最低賃金と給与水準
インドネシアの最低賃金は地域ごとに異なります。2024年のジャカルタ首都特別地域・西ジャワ州・バリ州の最低賃金は以下の通りです。
給与水準についてもジャカルタはインドネシアで最も高い給与水準となっています。その理由は生活費が高いため、給与もそれに応じて高くなる傾向があるためです。また、ジャカルタ近郊の工業団地であるチカランやカラワンには工場でのワーカーが多く、労働者保護の観点で最低賃金が高く、年々上昇傾向にあります。
業界別の給与相場
日系企業の進出も多い業界の給与水準は以下の通りです。
金融・保険などは高い給与水準が特徴で、経験によっては日本人同等の給与を貰っています。教師の給与は学校の種類や場所により異なりますが一定の幅があります。
職種別の給与相場
インドネシアの給与相場は地域や職種、経験、マネージャーなどの役職によって大きく異なります。企業が適正な給与を提供するためには、各地域の最低賃金を確認し、職種別の市場相場を調査することが重要です。また、優秀な人材を確保するためには、競争力のある給与パッケージと福利厚生を提供することも考慮するべきです。
具体的な給与情報が必要な場合や特定の職種・地域に関する詳細な情報が必要であれば、さらに詳しい調査や専門家への相談をお勧めします。
求人サイトとオンラインプラットフォーム
インドネシアでの採用活動の主な採用方法をいくつか紹介します。
主な求人サイト
┃LinkedIn
専門職や管理職の採用に利用されることが多いです。広範なネットワークと詳細なプロフィール情報が利用できます。
┃JobStreet
東南アジアで広く使われる求人サイト。多種多様な職種の求人情報が掲載されています。
┃Indeed Indonesia
多様な業界と職種の求人情報を提供するグローバルな求人サイト。
┃Karir.com
インドネシアの主要な求人サイトの一つ。多様な職種での採用活動に利用できます。
人材紹介会社
専門的な人材を探す際に利用されます。特定の業界や職種に強いエージェントを通じて、適切な候補者を紹介してもらえます。
主な日系の人材紹介会社
┃RGF Human Resources Agent Indonesia
電話番号:+62-21-8068-2206
営業時間 8:30~17:30
住所:Pakuwon Tower, Jl. Raya Casablanca No.Kavling 88 Lt. 26 Unit K&L, Menteng Dalam, Kec. Tebet, Jakarta Selatan – DKI Jakarta
URL: https://www.rgf-hragent.asia/indonesia/
┃PT. PERSOLKELLY Recuritment Indonesia (PERSOL Indonesia)
営業時間:9:00~18:00
住所 : Head Office (Jakarta Office) Mayapada Tower, 6th Floor, Suite 06-01、Jl. Jend. Sudirman Kav 28, Jakarta 12920
URL:https://www.persolid.com/
┃PT. Gaweku Human Capital Management
営業時間:9:00~18:00
住所 : World Capital Tower, Jl. DR. Ide Anak Agung Gde Agung Jl. Mega Kuningan Barat No.Lot D 12th Floor unit 09 & 10, Kuningan, East Kuningan, Setiabudi, South Jakarta City, Jakarta
URL : https://lp.gaweku.co.id/jp
┃PT. OS Selnajaya Indonesia
営業時間:8:30~17:30
住所 : Menara Astra, Lantai 55, Jl. Jend. Sudirman, Kav. 5-6. Kel. Karet Tengsin, Kec. Tanah Abang, Karet Tengsin, Tanah Abang, Central Jakarta City
URL : https://www.os-selnajaya.com/
┃JAC Recruitment
電話番号:+62-21-3970-3646
営業時間:8:30~17:30
住所 :Millennium Centennial Center 6th Floor, Unit A and, Jl. Jenderal Sudirman No.Kav. 25, RT.10/RW.1, Kuningan, Karet, Setiabudi, South Jakarta City, Jakarta
URL : https://www.jac-recruitment.co.id/ja
┃Pasona HR Indonesia
電話番号:+62-21-2956-8555
営業時間:8:30~17:30
住所 :Pakuwon Tower, 11th Floor Unit E&F, Jl.Kasablanka Kav.88, Jakarta Selatan
URL :https://pasona.co.id/
その他の求人方法
┃大学や専門学校との連携
キャンパスリクルーティング:大学や専門学校と連携し、卒業生やインターン生を採用する方法。キャリアフェアや企業説明会を通じて優秀な若手人材を獲得できます。
インターンシッププログラム:インターンシップを提供し、将来的な正社員候補として育成することも効果的です。
┃ソーシャルメディアとネットワーキング
Facebook、Instagram:企業の採用情報や職場の雰囲気を紹介し、幅広い候補者にアプローチできます。
コミュニティイベント:業界関連のイベントやセミナーに参加し、ネットワーキングを通じて人材を探す方法です。
インドネシアでの一般的な採用プロセス
1.求人の作成と掲載
求人要件を明確にし、適切なプラットフォームに掲載します。
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2.応募の受け付けと選考
応募者の履歴書や職務経歴書を確認し、適格な候補者を選びます。
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3.面接
一次面接(電話・オンライン)、二次面接(対面)を行い、候補者のスキルと適性を評価します。
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4.オファーの提示
適切な候補者にオファーレターを発行し、条件を確認します。
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5.契約締結
雇用契約書を締結し、法的要件を遵守します。
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6.オンボーディング
入社手続きとオリエンテーションを行い、新入社員がスムーズに業務に入れるようサポートします。
面接の最後に10問程度の簡単な計算問題を導入してみるのも一考。足し算、掛け算、割り算の簡単な問題ですが、解けない人も結構多いです。
いかがだったでしょうか。こちらの記事が読者のニーズに合った人材を見つけるための一助になれば幸いです。
・スラバヤ:ジャカルタよりも低いが、安定した給与水準。
・バリ:観光産業が盛んで、ホスピタリティ関連の給与が比較的高い。