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【ジャカルタ周辺】インドネシアの工業団地概要

ジャカルタの周辺には、多数の日系企業が進出している工業団地があります。 工場運営に必要な一定水準のインフラが整備されているのが特徴です。

ジャカルタ首都圏にある工業団地

ジャカルタ首都圏(JABODETABEK)には23カ所の工業団地があるとされています。特にジャカルタから東に延びるジャカルタ・チカンベック高速道路沿いには、日系自動車メーカーとその関連部品を製造する各社が多数進出しています。

このエリアに進出するメリットとして、

  1. 主要な工業団地が集中して立地していること
  2. ジャカルタ国際空港や国際港へのアクセスが良いこと
  3. インドネシアの他地域に比べ、インフラ整備が進んでいること
  4. 周辺の人口が多く労働力の確保が容易であること
  5. 高等教育機関が近くにあり、優秀な人材が得やすいこと
  6. インドネシア最大の消費市場、ジャカルタまで近距離であること
などが挙げられます。

ただ、進出企業数の増加を受け、ジャカルタにより近い工業団地には既に空きがなく、用地価格も高騰しているのが現状です。また、日本の中小企業から「とりあえずもの作りを始めたいので、小規模な賃貸工場への入居を希望」という声が上がっていますが、なかなかそれに適した物件が見つからないのが実情です。人件費の上昇も著しいため、繊維業や靴製造業は中部ジャワや他国での操業に切り替えている例が見られます。

また、ASEANの周辺国と比べるとインフラ整備が遅れ気味なのと、輸送や税制の条件により原材料や部材の調達が難しい、といった問題があります。

工業団地に進出する日系自動車メーカー
【四輪】

  • トヨタ:KIIC(工業団地以外でスンターとKIICの隣に工場あり)
  • ホンダ:KIM(四輪)、インド大成(四輪トランスミッション)
  • ダイハツ:スルヤチプタ(四輪)、KIIC(エンジン) (工業団地以外でスンターに工場あり)
  • 三菱:GIIC
  • いすゞ:スルヤチプタ(トラック)
  • 日産:ブキットインダ ・日野:ブキットインダ

【二輪】

  • ホンダ:MM2100、インド大成 (但し工業団地以外にクラパガディンに工場あり。)
  • ヤマハ:プロガドゥン、KIIC
工場で働く人材の確保
工場を運営するに当たり、ワーカーの確保が必要です。工業団地の運営関係者によると、ワーカーのうち、地元自治体からの通勤者は7割に達するといいます。
インドネシアでの人材採用についてはコチラをご覧ください。

日系企業が運営する工業団地

日系商社が運営に参画している工業団地は以下の4つです。いずれもジャカルタ・チカンベック高速道路沿いにあります。

  • MM2100工業団地
  • 東ジャカルタ工業団地(EJIP)
  • GIIC
  • KIIC

※順不同 これらの工業団地にはレストランやスーパー、銀行、アパートといった日本人が勤務するための付帯施設が充実しています。

パティンバン新港の建設計画

工業団地が集まるエリアから北側にあるスバン県に、パティンバン新港の建設計画が進められています。プロジェクトはJICAの技術・ 資金協力を得ています。早ければ 2019年にも稼働開始となる。現 状のタンジュン・プリオク港へは、 市内を抜けなければならないため、工業団地からトレーラーが1日 1往復しかできない(タイでは一 般的に1日3〜4往復できる)。

現地企業などが運営する主な工業団地

現地企業などが運営する主な工業団地は以下の通りです。

  • リッポー・チカランデルタ シリコン工業団地(Kawasan Industri Delta Silicon)
    Jl. Gunung Panderman Kav. 05, Lippo Cikarang, Bekasi, Jawa Barat
  • スルヤチプタ工業団地 (Suryacipta City of Industry)
    Jl. Surya Lestari Kav. C-3, Ciampel, Karawang, West Java
  • ジャバベカ工業団地 (JABABEKA)
    Jl. Surya Lestari Kav. C-3, Ciampel, Karawang, West Java
  • コタブキットインダー (Kota Bukit Indah Industrial City)
    Kota Bukit Indah Industrial City)

ジャカルタ近郊に進出する日本企業の動向

ジャカルタ東郊外にある日系の工業団地が運営を開始したのは1990年代にさかのぼります。1994年から外資100%出資による製造業企業の設立が認められるようになったことから、多くの日系企業がこの地区に進出し、自動車・二輪車、電気・電子、金 属、機械などの一大生産拠点が形成されました。 ただ、2010年以前はインドネシアの最低賃金が低かったため、内需用ではなく輸出向け製品が主に生産されていました。

二輪車は2010年以前からインドネシア国内に一定規模のマーケットがあり、日系メーカーが積極的に当地で生産を進めていま した。 2011年以降、日本企業による進出ブームが起きています。その要因として、インドネシア政府が2013年に導入した「低価格エコカー(Low Cost Green Car=LCGC)」政策が挙げられます。

LCGC政策では高い現地調達率が要求されていることから、二次下請け、三次下請けの部品メーカーの進出も活発です。また副 次的な要因としては、タイで大きな洪水が起き、自動車メーカーを中心に大きな被害を受けたことが考えられるほか、人件費高騰 などを理由に中国以外の投資先を探す企業が多かった、といった事情が挙げられます。

ただ、少なくからず問題もあります。インドネシア政府はどちらかといえば「内資を優遇する傾向」があり、外資に対する優遇措置に積極的ではありません。さらに、ジャカルタ近郊の賃金は統計で見るよりも激しく上昇しています。これは労組の活発な活動に加え、米を含む生活必需品の値段がインフレ率より速い速度で上昇しているためなどの理由が挙げられます。

工業団地への進出企業は主に内需に注力
工業団地に進出した企業のう ち、電気・電子関連は、輸出をメインにしている企業が一部にあった他、繊維・製靴、コモディティ 関連は輸出を視野に入れている。
一方、二輪車、四輪車は進出当 初から内需向けをメインに操業している。

【情報提供協力】 Karawang International Industrial City (KIIC)