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インドネシアにおける労務対策概要

インドネシアの就労形態

インドネシアにおける企業での就労形態は、正社員、契約社員、日雇いの3種類があります。

インドネシアでの雇用形態について

正社員の場合

  • 期間
    期間の定めなし
  • 使用期間
    設定可能(最長3か月)
  • 退職金など
    支払わなければならない

契約社員の場合

  • 期間
    期間を定める
  • 試用期間
    設定不可
  • 退職金など
    期間中の途中終了の場合、残存期間分の賃金を支払わなければならない。
インドネシア人の採用義務
現地の法令および労働省の指導により、外資100%出資の企業であっても外国人が総務や人事、経理を直接担当することは禁じられているため、現地人スタッフを最低でも1人雇うことが義務となります。なお、これらの3つの業務を1人で兼任することでも構いません。

現地の人材紹介会社の調査によると、インドネシア人は「5年以内に次の職場に移ってしまう」という結果が出ています。

インドネシアには、企業や機関に属さない不完全就労者が極めて多いだけでなく、就労者は一般的に企業に対する帰属意識が希薄なため、その結果、転職を繰り返してしまうようです。つまり、日本のように終身雇用を前提に就職し、年数をかけて経験を積んでもらうという考え方とは大きく異なります。

募集の際は、新聞などのメディアに広告を出す、自社ウェブサイトなどで告知する、縁故紹介に頼る、人材紹介会社に依頼する、 などの方法があります。

雇用契約書の作成

採用を決めたら、その応募者に内定通知書を渡します。就くポジション、給与額、手当て、入社日などを明記します。通知書にその応募者がサインしたら内定成立となり、会社は入社日までに雇用契約書を準備します。契約書はインドネシア語で作成、インドネシアの労働法で決められている事項を満たす必要があります。雇用契約書は、後日のトラブルを回避するためにも就業条件を明確にしておきましょう。

雇用契約書に盛り込むべき基本事項
・給与算出期間及び支払い日
・各種手当
 (残業手当、通勤手当など)
・契約解除に必要な予告期間
・就業開始日
・試用期間
・職位及び職務内容
・勤務時間及び休業日
・年次有給休暇
・福利厚生(医療保険など)

外資企業に求められる就業規則

就業規則は、10人以上を雇用する法人に作成義務が生じます。なお、外資企業に対しては雇用人数にかかわらず作成するよに労働局が強く指導しているので注意が必要です。

記載内容は、会社と従業員の間で起こりうる紛争や争議を回避する目的で、社内での諸規定も含めてまとめます。

なお、内容については現行のインドネシア労働法に沿った内容 であることが求められます。作成は経営者の責任で行うこととされていますが、労働者側代表の意見や見解も考慮する必要があります。

工場への「地元民」による雇用の要求
郊外の工場で人を集める際、土地収用の経緯から「土地を手放したのだから雇って欲しい」という要求が出るというケースがよくある。無碍に断ると、そのあと業務妨害のような執拗な嫌がらせを受けた例もあるので注意が必要。

就業規則のルール

就業規則では、会社が所在する地域を管轄する労働局の承認を得てはじめて有効となります。また、就業規則の有効期限は2年であるため、2年後までに更新をし、当局に申請しなければなりません。就業規則を有効期間内に変更する際、就業条件が変更前より悪化する場合は労使双方の合意に基づき新たな内容を決定 した上で、労働局の承認も受ける必要があります。

就業規則に盛り込むべき基本事項
  • 企業の権利と義務
  • 従業員の権利と義務
  • 就労条件
  • 企業の規律と行動基準
  • 就業規則の有効期間

正社員の解雇・退職

正社員(無期雇用)には雇用期間の定めがないため、労働法上の解雇事由 に該当しない限りは企業が一方的に雇用関係を解消することができません。解雇した場合、労働裁判所に持ち込まれるケースもありますから、十分に注意すべきです。

日本で懲戒解雇に当たるような事実が発覚しても、インドネシアでは退職の際に退職金を支払う義務があります。退職金(退職手当、功労金、損失補償金、送別金)の最低額は労働法により定められています。

宗教信仰に配慮する

インドネシア国民のおよそ9割はイスラム教徒(ムスリム)です。個人ごとの違いがあるといえ、宗教信仰に配慮する必 要があります。

多くのムスリムは1日に数回、定められた場所で礼拝をするほか、金曜日は1時半頃から12時台まで、男性もスリムはモスクで礼拝をします。また、毎年1カ月間のラマダン(断食月)があり、その期間は日没まで食事をしない決まりとなっています。このようなムスリムの習慣に対し、会社は礼拝用のスペースを提供すしたり、その他宗教義務の履行に留意する、といったことが求められます。

インドネシアには「宗教大祭手当(THR)」と呼ばれる各宗教 の祭日に合わせて固定給1カ月分が支給される制度があります。 本来の規定では、各宗教の再々前に渡すべきものですが、多くの会社ではムスリムの従業員が大多数を占めることから、ラマダン(断食月)明け を祝うイスラム大祭「レバラン」に合わせて全社員に支給されます。そのため、日系企業の間ではレバラン手当とも呼ばれています。