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インドネシアのハラルビジネス

インドネシア政府は2014年10月に「ハラル製品保証法(通称・ハラル法)」 を制定しましたが、その実施に向け迷走しているようです。現状と展望を JETROジャカルタ事務所のご協力でまとめてみました。

ハラルとは

ハラルとは、イスラム法の教えで「許可されたもの」を意味します。イスラム教徒が日常生活で、口にするもの、身に着けるもの全てが、ハラルか、そうでない「許されないもの(ノン・ハラル)」かの どちらかになり、これらはイスラム法で規定されています。

ハラルという概念はイスラム世界共通ですが、「ハラル認証」 は、各国または各国内の主要なイスラム団体が定めたハラルに関する認証制度であり、現状、その基準や制度、認証の位置付けは、国によって異なります。

これまでのハラル認証
インドネシアのハラル認証は、これまでインドネシア・ウラマー評議会(MUI)が認証の権限を持っていましたが、今後はハラル製品保証実施機関(BPJPH)にその機能が移管される予定である。

インドネシアにおける「ハラル認証」

「ハラル認証」とはイスラム教の戒律に従って調理・製造された商品であることを認証するものです。原料から加工して最終製品になるまでイスラム法に則った正しいプロセスを踏んでいることが条件となります。イスラム教徒が多い国では、各国で独自 の認証制度を設けています。ただ、制度や運用は各国によってそれぞれ微妙に異なります。

インドネシアでは2014年にハラル法を法制化し、ハラル認証権限をこれまでインドネシア・ウラマー評議会(MUI)が有していたものが、今後は宗教省管轄のハラル製品保証実施機関 (BPJPH)が行うことになり「国のルール」として位置づける予定です。また、他国のハラル認証機関との相互認証制度が従来あるものの、実態としては機能していない部分が多い状況です。 今後は、BPJPHが国の組織として相手国の組織との対話を進め、各国の認証機関で取得したハラル認証取得の商品が他国で流通しやすくなる事が期待されています。これが実現すれば、インドネシア国内で日本企業が生産をするハラル認証商品の輸出が容易になる可能性もあります。

マレーシアの国策としてのハラル認証

ASEAN諸国での「ハラル認証」の取り組みではマレーシアが先行しています。イスラム教の概念で ある「ハラル」を英語で明文化。 原料の選定、製造過程、輸送の ルールに至るまで細かい規定を 設けました。これにより、外国企業でも「ルールを守ればハラル商品を作れる」と取り組みへのハードルが一気に下がりました。結果として、 マレーシアへの非イスラム圏からの進出の増加に繋がっているとの見方もあります。

「ハラル認証」を日本で取る
日本国内で『ハラル認証』を得たい場合は、日本にある相互認証 機関を通じて取ることになります。ただ、認証機関の対応能力が小さいため、インドネシアから係官を呼ぶ方が確実という意見もあります。

「ハラル認証」に関する情報収集

2019年を迎え、ハラル法が法制化され4年以上が経過し、これまでに法制度の枠組みこそ決まりましたが、実施細則も発表されておらず運用について不明なところが多い状況にあります。

例えばハラル法では、対象品目を「国民が使用、利用または活用する物品またはサービス」とした上で、「国内に流通する商品はすべて認証が必要」といった記載があるが、膨大な品目数を考えれば とても現実的な内容とは言えません。では、在インドネシア日系企業はどのように今後対応すべきでしょうか。

まずは、実施細則の内容を知るために法改定に関する最新情報を常にチェックするよう心がけましょう。ただ、実施細則が発表されてから運用開始までの期間が短くなることも予想されます。 また、「国外で認証を得た商品を流通させる」というアイデアもあります。これは、ハラル法の解釈が一部拡大されたことによるもので、具体的には「加工食品については、インドネシアと相互認証を結ぶ国外の機関でハラル認証を受けたものは流通可能」という方針が提示されています。

インドネシアのハラルビジネス

法制化で変わること

インドネシアにおける従来の認証制度をめぐっては、認証を行なっている他の国が「規定があいまい」との見方を示しています。従って、インドネシアのハラル商品は他のイスラム圏に輸出が難しい状況が続いています。 法制化によりハラル認証を「国のルール」と位置づけ、今後は国家機関であるハラル製品保証実施機関(BPJPH)が認証を行います。

これにより近いうちに他国との相互認証も実現し、同法施行後は「ハラル検査機関(LPH)」が発足し、MUIと 連携して商品等の審査を進めて行くことになります。