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インドネシアのMBG(無料栄養食)プログラムの混乱

インドネシアのプラボウォ大統領が推進するMBGプログラムは、71兆ルピア(約4,800億円)の巨額予算が計上され、8300万人に栄養価の高い食事を提供する国家事業だが、その運営には深刻な問題が指摘されている。

最大の懸念は、透明性と説明責任の欠如である。巨額予算の使い道、監視体制、成功指標などが不明確なため、「新たな汚職の温床」になる可能性が指摘されている。過去の無料給食事業で問題となった架空請求や不正購入、腐敗した食品提供といった事態の再発も懸念されている。

MBGは、選挙後の世論の批判をかわすための政治的パフォーマンスという批判も強い。本格的なパイロットプロジェクトや正確な栄養データに基づく体系的な評価が行われる前に、大規模な予算配分とセレモニーが優先された点が問題視されている。

地方自治体からも、配布方法が不明確なまま支援を要請されたとの不満が出ている。また、地元産食材の利用を謳う一方で、権力に近しい大企業が流通網を支配する懸念もあり、新たな格差を生む可能性も指摘されている。

国民は支援を必要としているが、システムの不備、不正確な受給者データ、非効率的な配布は国民の信頼を損なう。CELIOSの調査では、MBGに反対する回答が59%に上った。MBGは、国民への真の支援か、それとも政治的権力のための手段なのか、その真意が問われている。