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2分で学ぶインドネシアの海洋文化遺産「ピニシ船」の基本の「き」

古くから航海術に長けた部族として知られていた南スラウェシ州の海洋民族ブギス族が、航海に使用していた伝統的な木造帆船「ピニシ船」は、2本のマストと7枚の帆を備えた壮麗なデザインが特徴。最初のピニシ船は14世紀にLuwu王国のSawerigading皇太子によって建造されたといわれている。皇太子は強くて頑丈なWelengrengの木(神の木)で船を造り、結婚を目的に中国へ航海したが、中国からの帰路で大きな嵐に見舞われ、船は3つに割れBulukumba県のLemo村に座礁した。座礁船は地元の人々の手によって立派な船に再生した。これがピニシ船の始まりといわれている。

スラウェシ島南端のBulukumba県では、何世代にもわたり木造船の造船技術が受け継がれてきた。船大工たちの知恵と伝統文化を守るという想いから生まれた造船会社「Aruna Marine Design」は、伝統を重視したクラシックなフォルムと現代的な技術・機能性を融合させ、国際基準を満たすものづくりを行っている。ピニシ船をモダンラグジュアリーの象徴へと昇華させ、Prana、El Alephなどインドネシア周辺海域ならびに世界を航海する数々の船舶を製作してきた同社は、ピニシ船を世界のヨットレースの舞台へ送り出すことを目指している。