インドネシア政府は、EUがインドネシア産バイオディーゼルに課した相殺関税を巡る世界貿易機関(WTO)での貿易紛争(DS618)で勝訴した。WTOパネルは8月22日、EUの措置がWTO補助金・相殺措置協定(ASCM)に不整合であると判断した。
WTOパネルは、EUが主張したインドネシア政府による補助金供与、具体的にはパーム油生産者への低価格販売指示や輸出税・課徴金が補助金に当たらないと認定。さらに、欧州のバイオディーゼル生産者がインドネシアからの輸出により物質的な損害の脅威を受けているというEUの主張についても、客観的な証拠に基づかないと結論付けた。
インドネシア貿易省のブディ・サントソ大臣は、この勝利はインドネシアが国際貿易ルールを順守している証拠だとし、EUに対し不適切な関税の即時撤廃を求めた。イシ・カリム貿易省事務総長も、WTOの裁定を尊重し、政策調整を通じてインドネシアの輸出回復を促すようEUに期待を表明した。インドネシアは、外交的・法的手段を駆使し、このWTO裁定の確実な実行を目指す方針だ。