LINE公式アカウント 友だち登録はこちら

【連載コラム】それ意味ありますか?は要注意。関係性を「繋ぎ直す」ポイント

これまで、優秀な社員の離職を防ぐための「組織の状態」と「残り続ける理由」という2つのメガネについてお伝えしてきました。「組織の状態」として最も関係が冷え切った「繋ぎ直す」必要がある状態では、離職の可能性は非常に高いです。今回は「繋ぎ直す」ための具体的な取り組みを解説します。

「新しい取り組みを提案しても、『それは自分の担当業務ではありません』と返ってくる」
「会議で意見を求めても誰も口を開かず、指示を待っている」
「『経営は何をしてくれるのか』『日本人駐在員が決めるべき』という声が聞こえてくる」

エンゲージメントが低い組織でよく見られるのが、従業員の「無関心」です。インドネシアの場合、上司や同僚との関係は良好でも、経営方針や他部門の話になると反応が返ってこないケースが多くあります。「どうせ何も変わらない」と思われている中では、面談をいくら重ねても響きません。

無関心が広がった組織は、「他責的な考え方」が蔓延しており、自分が報われない・評価されない原因を会社や経営陣、上司といった自分以外の何かに求めてしまいます。「自分はこれだけ頑張っているのに、なぜ・・・」といったように。

他責的な考え方は、もともと中立的な立場の方々に悪影響を及ぼし、組織中に伝播し凝り固まっていきます。自社に誇りや将来性を見出せなくなり、結果として優秀な人材から去っていく可能性が高まります。そのため、離職への対応よりも先に、組織の立て直しという緊急対応が必要となります。

その第一歩となるのが、「残ってほしい人から、関係を繋ぎ直す」ことです。全員に満遍なく働きかけるのではなく、対象を絞り、アプローチすることが重要です。まずは、これからの組織を担ってほしい人材と対話し、相手が求めることと、会社として約束できることをすり合わせます。その際には、「職場全体で対話する」などの組織施策よりも先に、経営層・管理職自らが「月に1回、部門との対話の場を必ず開く」「相談には〇日以内に必ず返答する」など、日々の小さな要望に期限を決めて応える「約束と実行」の積み重ねがポイントです。

約束したことをきちんと実行すれば、「この人たちは、言ったらやってくれる」「声を上げれば、組織は応えてくれるかもしれない」という信頼が積み上がっていきます。一人ひとりとの信頼関係を積み上げた先にしか、組織全体の改善は見込めません。

しかし、それだけで離職が止まるわけではありません。声を上げても、提案した本人に権限がなく、周囲も動き出さなければ、アイデアは現場止まりになります。そうなると、声を上げた人は「この組織は変わらない」と諦めてしまいます。信頼を積み上げた先に必要なのは、個人だけでなく、組織として動ける状態を作れるよう、働きかけることです。

次回は、組織の運動神経や体力を「取り戻す」ポイントをお伝えします。

執筆者プロフィール
PT. Link and Motivation Indonesia 代表取締役社長
松木 翔彦
リンクアンドモチベーショングループ入社後、大手企業向けコンサルティングに従事し、クラウド部門の立ち上げに参画。2025年よりタイ拠点マネジャーを務め、2026年よりPT. Link and Motivation Indonesia代表取締役社長に就任。