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スリウィジャヤ航空機墜落 高高度から急激な降下の謎

1月9日午後2時半過ぎ、ジャカルタのスカルノハッタ空港を離陸した国内線スリウィジャヤ航空機(SJ182便、乗員乗客62人)が離陸直後にジャカルタ北方海域に墜落した。海軍や運輸当局などによる機体、行方不明者の捜索が続いている。これまでに機体の部分的残骸、遺体の一部を回収するとともに事故原因調査のカギとなる「コックピットボイスレコーダー(CVR)」「フライトデータレコーダー(FDR)」という2つのブラックボックスの捜索が続いている。

運輸当局によると9日午後2時36分に離陸した事故機は同2時40分に連絡が途絶え、行方不明となった。この際巡航高度に上昇中だった高度1万1000フィートから250フィートに一気に急降下しておそらくそのまま海上に激突、墜落したとみられている。

今後墜落原因の調査が本格化するが、現時点でこの高高度からの急降下に関して考えられることは多くない。上昇中に機体が急激な上向きになったことなどによる失速、エレベーターやフラップなど動翼の異状による急降下、パイロットの失神などによる操縦不能だ。だが、失速や急降下になればパイロットは「緊急事態宣言(エマ宣言)」と同時に操縦桿を目一杯引いて機体の回復を図るし、パイロット1人が操縦不能に陥っても副操縦士がいるのでそのまま墜落することも考えにくい。さらに機体が過大な降下率で地上・海面に接近すれば地上接近警報など各種警報がパイロットに異状事態を知らせるシステムが作動するはずである。

今回の墜落事故に関してはコックピットと管制塔の交信の詳細がまだ明らかになっていないが、パイロットが急激な降下状況に陥ったことをどの時点で認識し、なんらかの状況報告やエマ宣言などをボイスに残していたのかがカギとなる。管制塔にボイスが残されていなくても、海底の場所を特定し回収を急いでいるとするCVRの分析解析から重要な手掛かりが得られることになるだろう。

インドネシアでは1997年12月に南スマトラ州パレンバン郊外のムシ川にシンガポール・シルクエアー機が墜落、乗員乗客104人全員が死亡した。この事故は「パイロットの意図的な急降下」つまり「自殺」が原因とされた。今回の事故ではあらゆる可能性を視野に入れた原因究明が求められているが、23年前のシルク機の「意図的急降下」を排除する合理的根拠は現時点ではなく謎は深い。

執筆:大塚 智彦
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞シンガポール支局長などを経て2016年からフリーに。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。ジャカルタ在住。




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