フィリピンのメディアが専門家による航空機の座席場所による死亡率なる分析記事を掲載した。死亡率は裏返せば生存率となり、どこに座るのが最も危険でありかつ安全であるかを示す数字となっている。
それによると死亡率が最も高いのは翼の上の座席で、翼による機体破壊や大量の燃料が翼内部に収められていることで火災の可能性が要因といい、その死亡率は46%という。次いで翼より前方にある座席でビジネスクラスやファーストクラスもある位置で39%という。航空機事故の場合多くは地上や海上に機体前部から墜落するケースが多いからだ。
その他は翼の後方から最後尾に向かって38%、32%、28%とわずかずつだが低くなっている。最後尾の座席は出入口に近く燃料による火災も翼による機体破壊の危険も比較的少ないのが理由という。もっとも大半の航空機事故は「乗客乗員全員が死亡」というケースが多いのでこの死亡率の数字はあまり参考にはならないが、気休め程度にはなるかも知れない。
さらに3人掛けの中央の列では真ん中が両側の乗客が衝撃から守ってくれるため安全度が高いとしている。
1985年に発生した日航ジャンボ機御巣鷹山墜落事故では4人の生存者がいた。全員が後部座席だった。生存者が自衛隊のヘリに吊り上げるのを現場で取材した経験から、以後自費での搭乗では最後列の通路側を指定することが信条となった。
もっとも仕事上の出張や招待旅行など自費でない場合は喜んでビジネスクラスに乗るので大した信条ではないことは自認している。
インドネシアのガルーダ航空はおそらく日航や全日空より数多く搭乗している。まだ機内が禁煙でない頃、離陸して喫煙可能になると誰よりも早く客室乗務員がライターを点じていた。滑走路で離陸に向けた走行直前に「前方の滑走路に別の航空機が進入したので離陸待機とする」との機内アナウンスがあったり、時間ギリギリにチェクインしようとしたら「搭乗予定の便はすでに出発した」と次の便に変更されたりといろいろガルーダでは貴重な体験をした。離陸間際になるとウェイティングリストの乗客で満席にして飛ばすという納得できない理屈で以後はビジネスクラスの常連となった。
航空機は機内サービスや清潔度、利便性などよりなにより安全最優先である。どの座席に座っても安心できることが理想である。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。