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インドネシアの空を席巻するLCC カジュアルなCAが他社との差別化

職業柄、各地のさまざまな航空機や、航空自衛隊のF15戦闘機などに乗ってきたが、それでも未経験の航空会社がある。その名も「Super Air Jet(スーパー・エア・ジェット)」。名前からして仰々しいが、特別なことはない一般的なただのLCC(格安航空会社)である。数多くのLCCが飛び交い、すでにレッドオーシャンと思われたインドネシア航空業界で、2021年8月に営業開始した新顔だ。

コロナ禍真っ只中に営業を開始するということで話題にもなったが、それはコロナ禍による旅客数減少で航空機リース会社に多くの航空機が返却される状況で、むしろそれなら安く運用できるチャンスだと営業開始に踏み切ったとされている。しかし、それ以上に話題になったのがCA(客室乗務員)の服装である。常に女性の憧れの職業で上位に位置するCAの制服は、世界的な超一流デザイナーが手がけるなど洗練されたエレガントなものも多く、美の象徴とされてきた。しかし、「Super Air Jet」のCAは男女ともにアイボリーカラー単色の作業着のような制服を身にまとい、白のスニーカーで足元をキメている。当初から、動きやすく実用性に特化してるためより機敏な客対応が可能だなどと言われていたようだが、乗客が搭乗するときでさえスマホをいじってたり、手鏡をのぞいているのは、他のインドネシアLCCと変わりない。このユルさに不安を覚える方は、LCCには乗らない方がいいだろう。さて、食事などのサービス提供がないのは他社同様だが、一番大きく違いを感じたのは座席の「薄さ」である。特に背もたれはかなり薄く作られている感じを受け、寄りかかるのに心許ない感じであった。逆にそれが前後幅の余裕を生み出しているように感じた。そこまでしてでも経費削減し、Z世代を中心とした若い世代に安価な空の旅を、というコンセプトには、企業努力として感心させられる。

旧知の友人は、何かと事故や不具合も多いL社だけは絶対に避けようと普段から航空券を手配している。その結果、今回「Super Air Jet」に初搭乗となったわけだが、インドネシア人に聞いたら「Super Air JetはL社みたいなもんだ」と笑われたそうだ。調べてみるとL社の子会社でもグループ会社でもないが、L社の創業者が資金を出し、L社の元ゼネラルマネージャーが社長に就いているようだった。人間心理とは怖いもので、彼は今後乗ることはないだろうと言っていた。知らぬが仏とはまさにこういうことなのだろう。