スマトラ島北部、Toba湖の湖畔からモーターボートで約150mの位置に浮かぶSamosir島の一番の見どころといえばやはり、古代から続く独特の文化を持つBatak族の村Huta Siallaganではないだろうか。
Huta Siallaganには、部族の指導者が権力を強めるために、黒魔術を使うとみなされ死刑を執行された犯罪者の心臓と肝臓を食す慣習が存在していた。死刑執行後、遺体の頭部を切断することにより黒魔術の知識が失われ、死者は危険のない存在になると考えられた。胴部と四肢はトバ湖に遺棄され村民は同地での活動を7日間禁じられた。頭部は悪意を持つ人々への警告として村の門にて数日晒されたのちに森に遺棄され村民は同地での活動を3日間禁じられたという。
Hutaとは土地所有制度を形成する社会秩序単位のひとつ、いわば「村」である。水田、畑、森林と同様に、Hutaの規模はコミュニティや氏族支配者の経済的、社会的、宗教的側面における力の象徴となる。Laga Siallagan王の統治時代に建設された古代の村Huta Siallaganには、現在もSiallagan王の子孫が住んでいる。同村は野生動物や他の部族の襲撃から守るための1.5~2mの石垣に囲まれており、他村との連絡も遮断されていた。