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バロンダンスからひもとくヒンドゥー教の哲学rwa bhineda

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バリ島のヒンドゥー神話における悪の象徴ランダは、長い髪、大きな目、鋭い牙と爪、長い舌を持つ女性。Dharmodayana王に追放され、王国の民を殺害することで復讐を果たした王妃の物語が起源といわれている。一方、善霊の象徴バロンは、長い牙と豊かな金髪を持つライオンに似た雄の聖獣として描かれている。

バロンがランダを倒す神話もあるが、多くの神話においてバロンとランダの力は均衡が保たれている。不死を授かり互角の力を持つ両者は終わりのない戦いを繰り広げる。この永遠の戦いの物語が、バロンダンスに引き継がれている。バロンダンスにはいくつかの種類があるが、Garuda Wisnu Kencana寺院の円形劇場では簡略化された「Tari Barong Rangda」が定期的に上演されていて、バリ島のヒンドゥー教徒の哲学「rwa bhineda(対極する二つの存在)」を一般の人々に伝える役割も果たしている。

ヒンドゥー教の概念では、善と悪、男と女、黒と白など、互いに異なる二つの性格を持つものは、否定し合うのではなく隣り合ってバランスを取り調和して存在すべきものとされている。バロンとランダの永遠の確執は、善と悪が隣り合わせであり、どちらも人間の生活から完全に排除することはできないことを象徴している。