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インドネシアの夢と激動の軌跡 TMII半世紀の物語

(c) travel.kompas.com

インドネシアの文化と自然の縮図ともいえる場所、タマン・ミニ・インドネシア・インダ(Taman Mini Indonesia Indah、通称TMII)は、広大な国土に広がる多様な文化を一度に体験できるテーマパークである。その構想を描いたのは、スハルト元大統領夫人であり、「ティエン・スハルト」の名で知られるシティ・ハルティナであった。彼女はオランダのマドローダムやアメリカのディズニーランドに感銘を受け、「インドネシアらしさ」を象徴する場所をつくりたいと願ったのである。

しかし、その壮大な夢は当初から波乱に満ちていた。巨額の建設費用に対して学生らが激しく抗議し、社会不安が高まる中で「マラリ事件」が発生するなど、国を揺るがす混乱も起きた。それでもプロジェクトは中止されることなく進められ、1975年4月20日、ついにTMIIは開園。ティエン夫人の情熱と執念が形となり、国民の誇りを映す象徴的な空間が誕生したのである。

現在、TMIIは国営管理のもとで再生を遂げ、今年で開園50周年を迎える。33の州パビリオンや多彩な文化展示が並ぶ園内では、今もなお「多様性の中の統一」というインドネシアの理念が息づき、訪れる人々にこの国の豊かさと歩みを伝え続けているのである。