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【日系企業INDEX】コロナ前後の事業環境の変化 間接資材モノタロウ・インドネシアの前田氏に聞く

工具や事務用品など間接資材の通信販売を手掛けるMonotaRO(モノタロウ、兵庫県尼崎市)のインドネシア法人モノタロウ・インドネシアは製造業や建設業、サービス業など幅広い業種のインドネシア在顧客10万社に対しインターネット経由の購買サービスを提供している。同社は新型コロナウイルスの流行拡大を受けた経済の落ち込みの中でも、現在に至るまで、継続してサービスを行ってきた。

ライフネシアは今回、モノタロウ・インドネシアの代表取締役社長を務める前田大輔氏に、コロナ前後での顧客の購買行動の変化などについて聞いた。

編集部
御社のこれまでの沿革を教えてください
前田氏
私たちは、日本で展開している法人向け工具や事務用品等間接材のインターネット通販事業であるモノタロウのインドネシア展開として2017年から事業を行っています。メインの商材はローカル市場で仕入れた商品ですが、日本のモノタロウ本社と連携し、プライベートブランドや日系ブランドの商品も幅広くそろえています。

私たちの強みは200万点を超える商品ラインアップを誇ることです。
さらに、短納期への対応や見積りの作成、Tax Invoiceの提供、電子認証機能などのサービスも提供していることも強みと言えます。私たちの10万社の顧客のうち、9割以上の顧客はローカル企業ですが、日系企業約1300社以上にもご利用をいただいています。

編集部
コロナ前後での売上の推移について教えてください。
前田氏
コロナ前の2020年3月にはマスクや手洗い用消毒液、フェイスシールドなど、コロナにより需要が上がった商品により過去最高の売り上げとなりましたが、同年4月に新型コロナウイルス対策の大規模な社会的制限(PSBB)が始まって以降、多くの法人顧客が生産活動や営業活動を停止したため、減収となりました。

ただし、5月を売上高減少のピークとし、それ以降は右肩上がりに回復し、同年11月には昨年と同水準まで戻っています。わが社の売上高は法人顧客のオペレーションの状況に連動するため、企業の全体的なオペレーションも2020年5月を下限として徐々に回復してきていると言えます。

実際、留守電率も同年5月に6割程とピークに達した後、11月には3割程まで下がりました。つまり出社する従業員数が増えたということです。

編集部
コロナ前後での売れ筋商品の変化を教えてください。
前田氏
2020年3月にはマスクや消毒液、フェイスシールドなど新型コロナウイルスの流行拡大を受けて需要が増えた商品が品薄となり、価格が暴騰していました。
ただし、私たちはインドネシアの有名マスクメーカーのNo.1代理店となるなどし、一貫して法人顧客への利便性向上に努め、リーズナブルな価格での商品提供に努めてきました。2020年4月以降、こうした商品の受注は同年3月のピーク後に徐々に下降し、5月に底を打ちました。

一方、ロジスティクス関連商品などはインドネシア全体の個人向けインターネット通販が活況となったことで、物流企業からの需要が強く、コロナ後にむしろ受注が伸びています。
またPSBB後にテレワークが一気に始まりました。このため2020年7月から在宅勤務環境を整備するためのオフィス家具やPC機器の受注が一気に伸びました。各社はこのころから、テレワークが長期化すると判断したのでしょう。

工場向け商品に関しては、引き続きフル稼働ではない工場が多いためか、従業員数に使用量が比例するような消耗品は回復が遅れています。ただし、工具や機械等ラインの稼働に必要な資本財の受注が伸びてきています。

編集部
顧客の購買方法の変化はありましたか?
前田氏
わが社はインターネット通販を主な販路としていますが、発注書ベースでの受注も可能です。これは、特に大企業などで、社内規制などでインターネット経由での発注が難しいといったことがあるためです。

この反面、コロナ後に購買部のスタッフが出社して発注書を作成、承認後に発注を出すといったこれまでのフローの継続が難しくなったことなどにより、インターネット経由での発注が増え、インターネット経由での受注が全体に占める割合はコロナ前が約6割だったものが、コロナ後のピーク時には8割以上に達しました。

インターネットによる発注を選択する顧客へのヒアリングを実施したところ、顧客からは「ネット経由での発注は購買スタッフの工数削減になる」といった声や「取引の透明性の担保」といった声がありました。ほかにも、「当社の提供する月間購買レポートにより購買品目の分析などが少ない工数で可能になるといったメリットが大きい」という感想もいただきました。

しかし、日本ほど法人購買のオンライン化が進んでいないインドネシアでは、ネット通販業者への信頼や商品品質の担保、納期の正確性等に課題感を感じている企業も多いと感じています。私たちはそれらの課題に対し、在インドネシアの法人顧客向けに、日本レベルのサービス品質を担保できるよう挑戦し続けます。インドネシアでも安心して間接材購買を行うことを可能にすべく、日々カイゼン活動を行っています。