5/14-15 チカラン・ジャカルタで交流会開催!詳細はこちら

スカルノ王朝の3代目は誰に 大統領選視野に水面下で動き

インドネシアの主要紙である「ジャカルタ・ポスト」は5月18日に「74歳のメガワティ、娘か息子どちらを後継者に選ぶか迫られる」との見出しでジョコ・ウィドド大統領の後ろ盾でもあり、最大与党「闘争民主党(PDIP)」の党首でもある第5代大統領メガワティ・スカルノプトリさんの後継者問題を論じた記事を掲載した。

メガワティ党首は言わずと知れたインドネシア独立の父でいまでも国民の敬愛と尊敬を一身に集めるスカルノ大統領の長女である。

今年1月に74歳を迎えたことから、後継者問題が浮上しており、メガワティ党首の長女であり国会議長でもあるプアン・マハラニさんと次男のムハンマド・プラナンダ・プラボウォ氏(愛称ナナン)が後継者の有力候補である。ちなみに長男のモハマド・リズキ・プラタマ氏は祖父に当たるスカルノ大統領に最も容貌が似ているものの、ビジネスマンであり政治には全く興味がないと言われている。

メガワティ党首の後継者ということはPDIP党首という地位と共に将来の大統領候補を意味することになり、その後継者選びは政治的に極めて重要な意味を持つことになる。

ジョコ・ウィドド内閣で閣僚、国会議長を務めるプアンさんは政治経験も豊かで、メガワティ党首自身も後継者にしたいと思っているという。ただしPDIP内部の情報では堅実で真面目なナナン氏を推す声が多いというが、問題はこれまでナナン氏自身が大統領候補に繋がる党首という檜舞台にあまり「興味がない」ことがネックと言われてきた。

さらにPDIP内部や政治評論家などからは「スカルノ、メガワティ」と続く「スカルノ王朝」の3代目には「世襲政治」との批判が強く、スカルノ血族以外の党首選出が望ましいという声も根強くあるという。

2024年の大統領選には3選禁止でジョコ・ウィドド大統領は出馬できない。このためプラボウォ・スビアント国防相が3度目の正直で出馬するとみられ、その副大統領候補としてメガワティ党首の後継者が出馬する可能性があるという。

さらに対抗馬として有力視される人気の高いガンジャル・プラノウォ中部ジャワ州知事(PDIP)の副大統領候補としての擁立もありうる、という。

政界への影響力が甚大なメガワティ党首の後継者選びの行方は今後のインドネシア政治の行方を占うことにもなるといえるだろう。

執筆:大塚 智彦
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞シンガポール支局長などを経て2016年からフリーに。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。ジャカルタ在住。