多宗教国家インドネシアにおいて、異なる宗教を信仰する者同士の結婚は、今、歴史的な岐路に立たされている。1974年法律第1号は、結婚の有効性は各々の宗教法に従うべきであると定めており、国家は長年、結婚の正当性を宗教に委ねてきた。
しかし、2023年に発令された最高裁回状第2号は、裁判官が異宗教間の結婚登記を許可することを明示的に禁止した。これにより、かつて裁判所の許可を通じて登記を試みた「法的な抜け穴」は事実上閉ざされたのである。
現場の葛藤も深刻である。シンドゥアディ村の事例調査では、異宗教婚カップルが子供の信仰教育を巡る紛争や、地域社会からの疎外感、罪悪感といった心理的・社会的ストレスに直面している実態が報告されている。国家が宗教的調和を優先する一方で、個人の自由と幸福をいかに保護すべきか。この論争は、単なる法解釈を超えた、社会のあり方を問う本質的な問題となっているのである。
もうひとネタ!
インドネシアでは法的な壁を回避するため、海外で挙式し帰国後に再登録する手法も取られているが、これも根本的な解決には至っていない。 現在、隣国マレーシアでは異宗教婚が刑事罰の対象となる場合もあり、ASEAN諸国内でも対応の差が鮮明になっている。



















