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宗教的寛容が再び問われる事態に イスラム教アフマディアへの迫害

インドネシアで宗教的な寛容が問われる事態が再び起きた。イスラム教の一派で「異端派」とされるアフマディアの宗教施設「モスク」がイスラム教徒らによって襲撃され、破壊される事件が西カリマンタン州で発生、警察は事件後これまでに21人を逮捕している。

事件は9月3日、西カリマンタン州シンタン地方バライ・ハラパン村にあるアフマディア施設が約100人のイスラム団体メンバーらによって襲撃され、破壊された。

アフマディアは預言者ムハンマドとは別の預言者を「救い主」として信仰するイスラム教一派で、これまで信者殺害やモスク閉鎖などで迫害されてきた経緯がある。インドネシア政府は2008年に「布教禁止命令」を出したもののイスラム強硬派などが求めていた「解散命令」までは命じていない。

いうまでもないがインドネシアは「イスラム教国」ではなくキリスト教、ヒンズー教、仏教なども認める「多様性の中の統一」を国是とする国で「寛容性」の重要性がことあるたびに民族団結、国家統一に不可欠とされてきた経緯がある。それにも拘らず、こうした宗教を巡る不寛容事案が後を絶たない。

今回の事件で注目したいのは、襲撃事件の際、警察官は当初駆けつけず、ようやく到着しても事態をただ静観するだけで止めに入らなかったという報道だ。

インドネシアでは兵士や警察官のこうした姿勢は決して珍しくなく、あまり問題にされてこなかった。今回もアフマディア関係者が抗議はしているものの、警察も問題にはせず、襲撃に加わった関係者を逮捕することで職務を執行している。

こうした静観あるいは、ある程度時間が経過してから介入するという姿勢は、特に宗教や民族関連の事案でよくみられる気がする。

インドネシアには「SARA」という政治経済社会文化などあらゆる分野に関わる暗黙のタブーが存在する。「民族・宗教・人種・階層」であり、治安当局も深い関与を回避したがる。それも階層は高い方、残る3つは全国的なあるいはその地域、場所の多数派、あるいは強硬派に対して「静観」を決め込む傾向が強いように思える。

今回の襲撃事件も現場で容疑者を確保すれば済んだことでもあり、何度も繰り返される現場での消極姿勢を改善することが警察の急務だろう。まして今回は襲撃グループがさらなる報復を示唆しているというのだから。

執筆:大塚 智彦
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞シンガポール支局長などを経て2016年からフリーに。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。ジャカルタ在住。
※本コラムは筆者の個人的見解を示すものであり、PT KiuPlat Media社の公式見解を反映しているものではありません。





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