インドネシアルピアの対米ドルレートが、7月6日に1ドル=1万5015ルピアまで下落した。1万5000ルピアを超えたのは、コロナ禍が始まった2020年5月以来、およそ2年ぶりである。
このような状況を受けて、スリ・ムルヤニ財務相はインドネシアの経済状態について、経常収支の面では良好だと説明した。スリ財務相は「(為替レート、金利、インフラなど)金融面の指標は、昨今の世界情勢を受けて当然のことながら非常に動的である。しかし、経常収支の面では十分良い状況だ」と述べた。経常収支は2021年から2022年第1四半期(1~3月)に黒字を記録。外貨準備高は2022年5月末時点で、6ヵ月分の輸入および政府の対外債務に相当する1356億米ドルに達している。
ただし、米中央銀行のベンチマーク金利の引き上げ策により、インドネシアを含む新興国市場から多くの資金流出が発生するだろうとみている。
同様に、プルマタ銀行チーフ・エコノミストのジョスア氏は「インドネシアの経済指標は良好な状態にあり、健全な経常収支と堅調な外貨準備高に支えられていることを踏まえると、引き続きルピアの安定性が促進される」と予想した。最近のルピアの下落率は、タイやマレーシアなどの他国と比べると比較的小さい。
一方、経済法律研究センターのビマ所長は、為替レートの下落が今後も続く場合、外貨準備高の減少の恐れがあると警戒している。資本流出が続き、輸出実績の改善が続けば、外貨準備高の減少につながるため、同氏はインドネシア中央銀行がベンチマーク金利の引き上げを開始すべきだと主張している。
また、一般にルピア安は輸出にプラスの影響を与える一方、輸入にはマイナスの影響を与える。そのため、原材料を輸入する製造業や輸入に依存する食料品において、値上げが起きる可能性があり、生活者にとって他人事ではない。