遡ること13年前の2009年10月2日、バティックはユネスコ無形文化遺産として正式に登録された。同時に世界遺産であるバティックの保存という新たな責務がインドネシアに課された。スシロ・バンバン・ユドヨノ前大統領は、2009年大統領令第33号により、バティックが世界無形文化遺産として世界に認められた10月2日をナショナル・バティック・デーと定めた。
ユネスコは「バティックの技法、象徴性、歴史はインドネシア文化固有のものである。モチーフの多様性にはインドネシアの文化的多様性が反映されている。いくつかのバティックのモチーフからは、アラビア、ヨーロッパ、中国、インド、ペルシャからの影響が見られる。インドネシアの人々の生活の象徴であり、哲学的意味も豊富である」と評価した。
バティックの語源は「多数の点が入った布」を意味する「アンバティック」という言葉。インドネシアのバティック工芸が完成したのは17世紀マジャパヒト王国の時代。当初バティックは王族と一部の貴族のみに着用が許されており、王宮でしか目にすることのないものだった。動物や植物の形をモチーフにしたものが主流だったが、時代の変化とともにモチーフも多様化。18世紀末から19世紀初頭にかけてバティックの技法が広まり、やがて産業化が進んでいった。