世界経済の混乱により海外市場で需要が落ち込み、インドネシアの製造業に打撃を与え始めている。
これらは、国の輸出実績が9月に前月から11%減少したことや、10月の製造業購買担当者指数(製造業PMI)が、50を上回り拡大状況であるものの前月より2ポイント低下したデータにすでに現れている。第3四半期(2022年7~9月)に堅調なGDP成長を記録し、世界において明るいスポットとみられているインドネシアでも、世界経済混乱の影響は避けられない状況となっているのだ。
海外市場に依存する業界では、輸出の減少により売上高が30%から50%以上激減し、特に繊維産業や履物産業では従業員の大量解雇が発生し問題化し始めている。ナイキやヴィクトリアズ・シークレットなど有名ブランドの生産拠点が集中する西ジャワ州では、今年4月から10月までの7カ月間で、繊維会社124社で計6万4000人が職を失った。東ジャワ州、中部ジャワ州、バンテン州など他の繊維産業地域を考慮すると、実際に失業者数はさらに多い可能性がある。
インドネシア繊維協会(API)は、海外の多くの顧客から出荷を2カ月以上延期するよう求められていると話した。キャンセルではないものの、いくつかの顧客企業では自国で在庫が積み上がり、それ以上の受け入れが難しい状況が続いているという。そのため、国内では工場の7日間稼働を5日に削減したり、最低賃金の低い地域へ移転するなどの対応が余儀なくされている。従業員は残業削減や時短勤務、無給休暇となり、最終手段としてリストラに直面すると説明した。
一方で、国内市場に目を向けると、輸入衣料品にシェアを奪われ輸出の減少をカバーできていない。業界団体や企業は政府に対し、輸入規制を通じて国内市場の保護に取り組むよう要請している。また政府も、アイルランガ経済担当調整相やスリ財務相らが対策を検討すると表明している。