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寺院のレリーフに記される王室の伝統薬とジャムゥ・ゲンドンの歴史

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ユネスコ無形文化遺産に認定された伝統薬ジャムゥ。薬草を調合し服用する文化が成熟したのは王朝時代といわれており、王族の健康と美容を保つために王宮で特別に薬草が調合されていたことは、ボロブドゥール寺院、プランバナン寺院群、ペナタラン寺院などに描かれているレリーフや文献にも記されている。

ジャムゥは、マジャパヒト王国時代後期から徐々に一般の人々にも紹介された。かつてはスピリチュアルな力を持つとされる「wiku」や「dukun」によって祈りと共に調合され、男性の使者によって届けられていたジャムゥは、マタラム王国時代には竹籠に入れて売り歩かれるようになったと考えられている。男性の労働力が農業に必要とされたため、やがてジャムゥはジャムゥ・ゲンドンと呼ばれる女性の行商人によって販売されるようになった。女性たちが竹籠を背負って路地などでジャムゥを売り歩くジャムゥ・ゲンドンの文化は今も失われていない。

マジャパヒト王国時代に王家が愛飲していたジャムゥは、8種類。これらは、8つの風の方角とマジャパヒトの象徴である太陽を意味した。またこれらのジャムゥの甘酸っぱさ、少しの辛味、暖かみ、辛味、苦味、淡白な味わい、そして再び訪れる甘味といった味わいの変化は、人間の生命のサイクルを表現しているといわれている。