近ごろSNSで注目を集めるピンクと緑の組み合わせ。しかしこの2色は流行以前から、インドネシアの食文化に根付いてきた。とりわけ伝統菓子の世界では、鮮やかな色彩が食卓を華やかに彩り、懐かしい味わいをより魅力的にしている。
「プトゥロ」や「プトゥマヤン」は、麺のように絞り出した生地をピンクや緑で染め、甘いココナツソースとともに味わう素朴な一品。「ピサン・イジョ」は南スラウェシの名物で、緑の衣をまとったバナナにピンクのシロップをかけ、見た目も味わいも華やか。「セレンダン・マヤン」や「チュニル」は層や粒を色分けし、白と組み合わせて透明感のある彩りを見せる。
「カラビカン」や「ゲトゥク」は、素朴な素材に色を添えることで一気に華やぐ菓子。「カンティクマニス」は名前通り可愛らしい見た目で、柔らかい食感と淡い色彩が特徴。「クレポン」や「オンゴルオンゴル」も本来は緑が定番だが、ピンクを加えることでより愛らしく仕上がる。そして「クエペペパンガン」は層状の生地に二色を交互に重ね、焼き上げることで香ばしさと美しい模様を楽しめる。
これらの菓子は単なる甘味ではなく、祝いや家族の集まりを彩る存在として人々に懐かしさと喜びを与えてきた。ピンクと緑の組み合わせは、今も昔も人々を惹きつけるインドネシアの甘い魔法だ。