ジャカルタの南に位置し、現在は首都圏のベッドタウンとして発展するデポック市。実はこの地名を巡り、長年語り継がれてきた興味深い論争が存在する。
もっとも有名な説は、デポックがあるオランダ語の頭文字をとった略語アクロニムであるというものだ。その言葉とは「De Eerste Protestants Onderdaan Kerk」。日本語で「最初のキリスト教徒の人民教会」を意味する。これは17世紀末、この地の所有者であったオランダ人富豪コルネリス・カステレインが、奴隷を解放しキリスト教を広めた歴史に由来している。
しかし、学術的な視点からは別の説が有力視されている。それは、スンダ 語の古語で「隠遁所」や「集落」を意味する言葉に由来するという説である。15世紀のスンダ・パジャジャラン王国の時代から、この地は精神修養の場として認識されていた可能性が高いというのだ。
カステレイン の遺産としてのオランダ風情と、古来より続く土着の精神性。デポックという短い地名の中には、インドネシアの複雑で重層的な歴史が凝縮されているのである。
もうひとネタ!
コルネリス・カステレインによって解放された奴隷たちは「12の氏族」となり、ジョナサンスやローレンスといった独自の姓を今もこの地に伝えている。



















