ジャカルタのコタトゥア地区にある重厚な壁の向こうには、世間にあまり知られていない歴史が隠されている。ファタヒラ博物館とも呼ばれるジャカルタ歴史博物館は、単なる植民地時代の元市庁舎ではない。
ガイドのギラン・ラマダン氏によれば、広場にある八角形の噴水は、18世紀にチリウン川から水を引いた古い井戸であったという。水質悪化により一度は取り壊されたが、1970年代にアリ・サディキン知事の指揮下で、軍人ヨハネス・ラッハの絵画をもとに再建された。本館は1707年建設のバタヴィア市庁舎であり、オランダのアムステルダム王宮を忠実に模している。頂上のクポラと呼ばれるドーム部分は、東インド会社の権力を誇示する象徴であった。
しかし、壮麗な外観の裏には悲惨な過去もある。裁判所として機能していた当時、建物の正面ステージでは、罪を被せられたり支配に抵抗したりした先住民たちの公開処刑が見せしめとして行われていたのだ。
現在は大人5,000ルピアという格安なチケットで楽しめる手軽な観光地となっているが、その美しい意匠の隅々には生々しい植民地時代の記憶が今も刻まれているのである。
もうひとネタ!
週末は夜20時まで開館しているため、昼間の喧騒を避けて夜風を感じながら、ライトアップされた広場で歴史の面影をたどるのもお勧めである。


















