ソーシャルメディアなどを通じて、不確かな情報が大量に拡散されてしまう現象を「インフォデミック」という。新型コロナウイルスが急拡大するインドネシアにおいて、今、インフィデミックが深刻化している。コロナウイルスに関する偽情報によって、命を落とすケースも報告されている。
中部ジャワ州テガルの病院で、60歳の男性が発症から8日後に亡くなった。この男性は当初、パンデミックが嘘であると信じていたため、検査や入院、薬の服用さえも拒否していた。最終的に治療に合意をしたときには、すでに手遅れの状態であった。またこの男性は、ワクチンはイスラム教における「ハラム(禁じられたもの)」だと信じ、接種を受けていなかったという。このように、不確かな情報を信じ込むことは、国内では珍しいケースではない。
このような状況に対して、インドネシア反フェイクニュース団体(MAFINDO)は、拡散されている偽情報はインフォデミックの氷山の一角に過ぎないと主張し、ツイッター、インスタグラム、フェイスブック、ユーチューブ、ティックトックなどのソーシャルメディアに対し、誤解を招く情報について監視を強化するよう求めている。また国家警察は、フェイクニュースやデマの発信者や拡散者に対して確固たる行動を取るとも宣言している。
通信情報省のデータでは、これまでに確認されたコロナ関連の偽情報は3949件。ビックデータコンサルティング会社によると、コロナ禍で政府から十分な援助が受けられない不利な立場の人々の間で、インフォデミックの影響が深刻化するという。特に今の活動制限下においては、以前は政府の発信を信じていた人でさえ、ネット上の偽情報に従うようになるかもしれないと警鐘を鳴らしている。