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コーヒー文化を国家的観光の目玉に ウノ観光相提唱、コロナ後を視野に

コロナ一色の報道だが、たまには明るいニュースもいいだろう。今回はコーヒーの話題である。サンディアガ・ウノ観光創造経済相が「インドネシアの国家的な観光の目玉にコーヒーとその文化を軸にして積極的に推進したい」との方針を明らかにした。

もちろん現下の厳しいコロナ禍が終息に向かうことをにらんでの話しではあるが、インドネシアのコーヒーは世界的にも有名で多様なコーヒー・シーンが繰り広げられていた。

ジャカルタ市内にも多くのカフェができ、アチェ・ガヨやトラジャ、バリ、ルアックなどの有名ブランドから聞いたこともない地方の珍しいブランドまで選択肢の多いコーヒーを味わうことができた。

パプア地方や今は独立国である東ティモール産のコーヒーは旧植民地支配国だったポルトガルの影響で独特のコーヒーが味わえた。

ウノ観光相はバリ島には既にモデルとなるコーヒーツアーがあり、こうしたツアーをそれこそ「サバンからメラウケまで展開出来るようにしたい」と意欲を示す。要するにインドネシア全土でコーヒーを軸にした観光ツアーでコロナにより疲弊した観光業を再興しようという壮大な構想だ。

ジャカルタ市内では中心部のサバン通りやチキニ地区に昔からの洒落たカフェがある。チキニ地区のイスマイル・マルズキ公園の北側にはマスコミ関係者が集まるカフェ、芸能関係者や作家が好むカフェが点在しており独自のブランドを提供していた。

筆者はサバン通りにある間口約2メートルの鰻の寝床のような「ソウダガル・カフェ」がお気に入りだ。ここでお薦めの焙煎済みの豆を購入し、自宅で中挽きにしてペーパードリップで味わうのが贅沢な時間だった。

街中のカフェとは異なり道端の屋台やインドネシア料理店などで出されるコーヒー粉に直接湯を注ぎ、攪拌して粉の沈殿を待って飲む方法も味は画一的だが捨て難い。

カリバタやパサールミング、コタなどの路上で旬になると売られる「果物の王」と称されるドリアン。インドネシア人はアクア水を飲みながら味わう。食べ合わせが悪いと決して手を出さないが、ドリアンにはコーヒーが一番である、と自流で楽しんでいる。

人それぞれの楽しみ方で好きなブランドを選んで、多彩なインドネシアのコーヒーをゆっくり自宅で味わいながらコロナ禍の一日も早い終息を願いたいものである。

執筆:大塚 智彦
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞シンガポール支局長などを経て2016年からフリーに。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。ジャカルタ在住。