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ガルーダ航空は実質倒産 地に墜ちた伝説上の神鷲

インドネシアのフラッグ・キャリアーである「ガルーダ航空」の経営難は危機的状況をすでに超えて「実質的には倒産状態」にあることが地元メディアでも再三報じられる事態となっている。天駆ける「伝説上の神鷲」である「ガルーダ」がついに地に墜ちるか、とインドネシア人ならずとも驚きを隠せないが、ガルーダ航空の経営難は昔から指摘されてきたことで、これに真摯に向き合わなかった経営陣や救済を怠ってきた政府にも少なからずの責任はあるといえるだろう。

1990年代のガルーダ航空はまさに殿様商売で、搭乗手続き時間ぎりぎりだがまだ余裕のある時間にスカルノ・ハッタ航空で国内線にチェックインしようとしたところ「当該機は満員になったのでこれより出発です。次便に搭乗下さい」と信じられない理由で予定便に搭乗できなかったことがある。

「航空券を持っていても乗れない」「すでに満員って、私はまだ搭乗していない」など散々悪態をついてもスタッフは涼しい顔。あとで内情を聞くと、出発時間が迫るとキャンセル待ちの乗客を乗せて満席にして出発するのだという。予約数が少ない場合は前後の出発便を調整して1便にして満席にする、などの勝手流調整がまかり通っていた。

喫煙席がまだある頃、カーテンで仕切った一角でCA(客室乗務員)が歓談しながら一服なんて日常茶飯の光景だった。

1996年6月に福岡空港で起きたガルーダ機の離陸失敗滑走路オーバーラン事故(死者3人)では真っ先に機外に逃げたのがCAだったと批判され、事故機の機長はインドネシア帰国後に社内表彰を受けた。理由は「犠牲者を最小限に抑えた」だった。

2021年9月の財務報告によればガルーダ航空の資産はマイナス28億ドルで毎月の負担額は1億~1億5000万ドルで増加中という状況から国営企業省幹部は「正式に宣言こそしていないが、この状況は実質倒産であるといえる」と国会委員会で証言している。

このため2022年には2019年の237ルートの飛行便を140ルートに削減し、シティリンクと共同使用の202機(2019年)を134機に減らす方針という。さらに財務改善のため安全面に最大限配慮しながらあらゆる手段の模索が求められている。

尾翼に描かれた神鷲「ガルーダ」に愛着や郷愁を抱くのはインドネシア人だけではないだろう。再びの飛翔を願わざるを得ない。

執筆:大塚 智彦
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞シンガポール支局長などを経て2016年からフリーに。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。ジャカルタ在住。
※本コラムは筆者の個人的見解を示すものであり、PT KiuPlat Media社の公式見解を反映しているものではありません。