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G20で苦境に立たされるインドネシア ロシア参加で加盟国間に賛否両論

インドネシア政府が苦境に立たされている。10月にバリ島で開催予定のG20会合を巡って、難しい判断を迫られているからだ。

G20会合とは日米などのG7(先進国首脳会議)に13の国と機関が加わった「金融世界経済に関する首脳会合」で中国、韓国、インド、インドネシア、ロシア、豪、トルコなどがメンバーとなっている。

2022年の議長国がインドネシアとなり、ジョコ・ウィドド大統領はコロナ禍後の世界経済回復への道筋をつける重要な会合として政府を挙げて全力で会合成功を目指し、政権浮揚と東南アジアの指導者として名を高める狙いだった。

ところが2月24日にロシア軍によるウクライナ軍事侵攻が始まり、国際社会の主流は反ロシアで結束し、北京パラリンビックをはじめとする国際的スポーツ大会のみならず国際会議などからもロシアを排除する動きが顕著となる事態になった。

G20会合に関してもロシアの参加に異を唱える参加国がでるなど雲行きが怪しくなったのだった。そんな中3月23日には在インドネシア・ロシア大使が「プーチン大統領は予定通りにG20会合に出席する」と先制攻撃のようにロシア参加を言明したのだった。

さらに中国外務省も「参加国が他の国を排除することはできない」としロシアを援護した。

この時点ではG20会合の主要メンバーに位置づけられているロシアと中国の意向を受けて予定通りの全メンバー参加での会合開催が可能にみえた。

しかし、やはり米国がそんな状況を許さない姿勢を明らかにしたのだった。3月24日にバイデン米大統領は記者の質問に答える形で「ロシアを排除すべきだ」との反ロシアの姿勢を明確にし「ロシア参加ならウクライナを招待するべきだ」と注文を付けたのだった。

 

G20会合はメンバー国以外の国や国際機関を、その時の国際情勢などに応じて招待することが可能で、その判断には議長国の意向もかかわる。

バイデン発言は結果としてインドネシアを苦境に追い込み、ジョコ・ウィドド政権はどういう態度を議長国として示すか難しい選択を迫られたといえる。ロシアを排除すれば中国やロシア寄りのメンバー、南アフリカやインドの反発が予想され、ロシアを招待すれば欧米豪や日本などの国が反対し、最悪の事態G20会合ボイコットの可能性もある。ジョコ・ウィドド大統領は眠れない夜が続く。

執筆:大塚 智彦
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞シンガポール支局長などを経て2016年からフリーに。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。ジャカルタ在住。
※本コラムは筆者の個人的見解を示すものであり、PT KiuPlat Media社の公式見解を反映しているものではありません。