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パーム油の全面禁輸 インドネシア 国際社会は混乱、マレーシア増産

インドネシア政府は4月28日、パーム油の全面的な輸出禁止を決めた。カリマンタン島バリクパパンのパーム油輸出拠点では、まさに海外に向けて出港しようとしていたパーム油輸送船が沖合で立ち往生するなど業者にとっては突然の禁輸措置発表だった。

インドネシアは約4000万トンと世界最大のパーム油生産国で、2位のマレーシアの約2000万トンを大きく引き離している。日本はパーム油63万トンを輸入しており、その22%がインドネシア産のパーム油が占めている。

食用油、インスタント麺、石鹸、化粧品、洗剤そして近年はバイオマス燃料にも利用されているパーム油の禁輸は、日本のみならずインドネシアから輸入している中国、タイ、シンガポール、パキスタンなどにも深刻な影響を与えている。

ジョコ・ウィドド大統領などの説明によると、複数の理由が禁輸の背景にあるという。まずロシア軍によるウクライナ侵攻でひまわり油が世界的に不足し、相対的にパーム油の需要が高まったことがある。価格高騰で目先の利益確保を狙った輸出業者が輸出を増加させ、国内のパーム油市場で価格が値上がりし、品薄感もあり、国民の間に不満が広がったことがある。

さらに4月下旬からのレバラン大型連休で国民の多くが帰省、旅行にでかけ、故郷などで親族一同による食事の機会増大でパーム油の需要が高まる時期でもあったことが指摘されている。

ジョコ・ウィドド大統領は「世界最大のパーム油生産国であるインドネシアが食用油の入手に苦労しているのは皮肉だ」と述べ、アイルランガ・ハルタルト経済担当調整相も「国民を優先するという政府の献身的姿勢の表れであり、違反した企業は取り締まる」と禁輸の政策を肯定している。

パーム油の需要の高まりにはインドネシアの流通の脆弱さもある。冷蔵、冷凍能力は地方の流通の末端まで整備されているとは言い難く、結果として肉類、魚介類は生食が不適で、パーム油による揚げ物(ゴレン)が主流となっており、パーム油はインドネシア国民の生活に深く関わっているという現実的な実態もある。

こうした中、マレーシアは今年末までにパーム油の輸出を30%増加する方針を示し、国際市場でのインドネシア優位性を脅かそうとしている。さてどうするインドネシア。

執筆:大塚 智彦
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞シンガポール支局長などを経て2016年からフリーに。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。ジャカルタ在住。
※本コラムは筆者の個人的見解を示すものであり、PT KiuPlat Media社の公式見解を反映しているものではありません。

 

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