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障がい者の権利に対する障壁 急なスロープや行先のない点字ブロック

インドネシアでは、公共エリアをよりバリアフリーにするために多少の取り組みはみられるものの、障がい者の権利を保障するために行われるべき事柄が未だに多く残されている。

生まれつき脳性麻痺をもち日頃から車いすを使用しているイルマさん(26)は、中央ジャカルタにある開発コンサルティング会社で働いている。ビルの入口に向かうスロープは狭く、急なため車いすを使用することができない。また街中では、車道と歩道の間に段差があったり、スロープがあっても急すぎるため使用できず、イルマさんにとって歩道は十分にバリアフリーであるとは言い難い。歩行者のためのインフラは、時に障がい者にとっては障壁となることがあるのだ。

交通開発政策研究所(ITDP)もまた、歩道にあるスロープはいい加減に建設されており、これはジャカルタだけの問題ではないと指摘している。加えてITDPは、視覚障がい者にとっても公共エリアはバリアフリーではないと言及している。視覚障がい者が必要な誘導用ブロック(点字ブロック)が、ジャカルタでは全ての歩道にあるわけではなく、あったとしても正しく設置されていないことがほとんどである。また、音や音声で情報を伝える音サインも非常に少ない現状である。

政府は2016年、障がい者に関する法律「2016年第8号」を可決し、障がい者のアクセスビリティに対する権利を法的に保障した。この法律では、各州が障がい者に対応するすべてのレベルで義務を負っている。しかし現実には、障がい者が他の人と同じ権利を享受するためには、未だ多くの取り組みが残されているようだ。

別の視点では、障がい者の権利に対する人々の意識が低いことも、障がい者に対する否定的な認識の一因となっている可能性がある。車いすを利用するイルマさんも「私が家の外で活動していると、多くの人が驚く。なぜ外に出る必要があるのか​​とよく尋ねられる」と述べる。