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外務省が英大使館に抗議 LGBT旗の掲揚問題視

インドネシア外務省が5月23日、英大使館に対し、同館が17日に性的少数者である「LGBT」を象徴し、その活動を支援する旗を掲揚したことに対して抗議した。

外務省報道官はこの英大使館の行為ついて英大使に「LGBTの旗を掲げて公開することは英国大使館がインドネシアの文化を軽視していることを意味する」とし、さらに「全ての大使館はインドネシアの宗教的、文化的規範を尊重すべきだ」とまで述べたのだった。

インドネシアは一体いつから「イスラム教国」になってしまっただろうか。独立時にスカルノ初代大統領は「多様性の中の統一」「寛容性」を国是として多民族、多文化、多宗教のインドネシアを統一国家としてまとめることに苦心した。

同性愛などはインドネシアでは法律で禁じられていない。唯一の例外はスマトラ島北端のアチェ州で、同州ではイスラム法が施行されており、同性愛は禁止され違反者は公開むち打ち刑の対象となる。

法律で禁止されていないLGBTを象徴する旗がどうして「インドネシア文化の軽視」「インドネシアの宗教的、文化的規範の非尊重」になるのだろうか、理解に苦しむ。

「外国公館での旗掲揚はその国を象徴する国旗であるべきである」とでも抗議理由を示せばまだ理解を得られただろうに、外務省も抗議理由を誤ったと言わざるを得ない。

この問題に疑問を呈したのは外国メディアであり、国内メディアでは表立った批判は出ていないという。

これは人口の88%という圧倒的多数を占め、その意見、主張、規範があたかも国のものであるかのようなイスラム教勢力の影響や同勢力への忖度が関係しているという。さらに言えば、ジョコ・ウィドド大統領すらこの問題を深刻にとらえない一因には、イスラム教の重鎮でもあるマアルフ・アミン副大統領(NU総裁、MUI議長経験者)の存在があるのではとの見方もある。

誰かジョコ・ウィドド大統領に進言して外務省の対応の不味さを指摘できないのだろうか、と切実に思う。それほどこの問題の根は深く、深刻である。

いくらイスラム教の規範に反してもLGBTの人々も同じ人間であり、インドネシア国民でもあり、不当な差別や虐待を受ける理由はない。インドネシアが民主的近代国家を指向するならLGBT問題の「寛容」に基づく解決は不可避である。

執筆:大塚 智彦
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞シンガポール支局長などを経て2016年からフリーに。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。ジャカルタ在住。
※本コラムは筆者の個人的見解を示すものであり、PT KiuPlat Media社の公式見解を反映しているものではありません。

 

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