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同床異夢のG20会議 欧米VSロシアの対立

バリ島でG20外相会議に次いで開催された財務相会議でも、ロシア軍によるウクライナ軍事侵攻の影響で対立する欧米とロシアの構図がそのまま持ち込まれ、インドネシア政府による「会議の意義は維持された」とする説明とは相反する結果となっている。

インドネシアのルトノ・マルスディ外相は外相会議について「主義主張が異なる国々が一堂に参集した会議の意義は大きい」と成功に終わったとして会議を高く評価した。

しかし同会議にはロシアのラブロフ外相は出席したものの、G20メンバーではなく議長国インドネシアの招待を受けたウクライナ外相は結局「オンライン参加」に留まり、「一堂に参集した」とはあくまで表向きの捉え方で、舞台裏ではロシア外相の参加に同床異夢の欧米各国が反発した経緯は伏せられた。

一連のG20会議は11月の首脳会議をもって総仕上げとなる。

ジョコ・ウィドド大統領は先にウクライナ、ロシアを訪問して両国首脳、ゼレンスキー大統領とプーチン大統領の首脳会議参加を求めたが、プーチン大統領は参加の方針を示しているがゼレンスキー大統領のバリ訪問は戦況次第とは言え正直絶望的だ。

さらにプーチン大統領の参加には欧米が強く反発しており、バイデン米大統領と同じ会議の席に並ぶことは「ありえない」と米政府関係者は繰り返し牽制している。

さらに財務相会議に出席したイエレン米財務省官も「G20会議にロシアが座る席はない」とロシアを批判するなど首脳会議開催に向けた米政府の強い反プーチン大統領への姿勢が改めて表明されたのだった。

このままでは首脳会議への欧米の欠席あるいは会議での退場、激しい非難合戦、共同声明不採択などが十分予想され、ジョコ・ウィドド大統領が望むような内外への外交成果アピールとはならない可能性が高くなっている。

ウクライナのゼレンスキー大統領によるオンライン参加を含めて「形だけは整える」のか、和平は不可能としてもせめて世界的な食糧不足打開のためにウクライナ産の穀物などの輸出全面解禁でロシアの合意を取り付けるという「実利」が得られるのか。

ジョコ・ウィドド大統領が先のロシア訪問でプーチン大統領が表明したとする「食糧回廊」もその後実現せず、国連とトルコの仲介でようやくわずかな燭光がみえてきた。「名をとるか実利をとるか」、ジョコ・ウィドド大統領の真骨頂が試されようとしている。

執筆:大塚 智彦
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞シンガポール支局長などを経て2016年からフリーに。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。ジャカルタ在住。

 

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