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デング熱の症例数が3倍に増加 コロナ誤診で対処に遅れも

伝染性の高いオミクロン株新系統がインドネシアでコロナ第4波を引き起こしている。それと同時に、今年はデング熱の感染数が昨年の3倍に達しており、コロナとデング熱という二重の危機に直面している。

デング熱の原因となるデングウイルスは、蚊の一種であるネッタイシマカの吸血活動によって伝播する。保健省の発表によると、今年7月上旬までのデング熱の症例数は全国で6万1046人で、そのうち580人が命を落とした。昨年の同時期(症例数約2万人、死亡者数171人)と比較すると3倍以上に増加している。この季節的流行は、国内34州すべてで報告されている。さらに悲しいことに、死亡者数の約47%を5歳から14歳の子どもたちが占めている。

豪グリフィス大学のインドネシア人疫学者、ディッキー・ブディマン氏は、デング熱の症状が新型コロナウイルスの症状に類似していることから、特に医療施設が限られる地域においてはコロナ拡大時にデング熱の誤診が多くみられると説明した。デング熱への対処については特別な治療法があるわけではないが、早期発見と適切な初期対応によって致死率を1%未満に低下させることができると知られている。そのため、デング熱による死亡者数を減らすためには、適切な診断が重要であると強調した。

インドネシアの今年のデング熱による致死率は0.95%と、東南アジア地域で2番目に高い。最も高いのが東ティモールで1.2%。ベトナム(0.03%)、マレーシア(0.06%)、カンボジア(0.2%)などと比較するとインドネシアの致死率ははるかに高い。政府は2025年までに0.5%、2030年までに0%にするという目標を掲げている。