インドネシアでの活動10年目に向けて益々多彩に活動している加藤ひろあき氏。そんな彼が次のステップとして選んだのはマレーシア、フィリピン、ブルネイでも公開予定の新作ホラー映画『Ivanna』での本格役者デビュー!『Ivanna』は、公開12日間で観客動員数200万人を突破。今回、作品に込めた特別な想いや撮影現場の様子を加藤氏がオープンに語ってくれた。
プロフィール
映画公開おめでとうございます!反響はいかがですか。
上々です!先行試写会やプロモーション会場でも観客の皆さんの熱が感じられ、本当に嬉しいです!
ご出演が決まった時の心境を教えてください。
日本では短編映画や舞台の経験があり、インドネシアでも実は学生時代に出演した映画がフィルムフェスティバルで短編映画最優秀賞に選ばれた経験があるのですが、商業的な長編映画は本作が初めて。とにかく悔いのないよう、オーディションから万全の準備で臨みました。
出演が決まった時はただ「やってやるぞ!」という気持ちだったのですが、顔合わせと台本の読み合わせが始まってから、著名監督の作品という現実と僕のシーンの重要性に対する実感が湧き、しがみつくように懸命に取り組みました。
2013年にKimo Stamboel監督が共同監督を務めた日尼初合作映画の会見で、同時通訳として仕事したんですよ。まさかデビュー作がそのKimo監督の作品になるなんて。運命を感じますね。Kimo監督にその話をしたら「そういえばなんかデカイ奴いたな」と(笑)喜んでくれました。
実際に演技をされてみていかがでしたか。見どころとなるシーンは?
自分にはない暴力性、残虐性を掘り出す作業が大変でした。たまたま僕の奥さんと映画の原作者のRisa Saraswatiさんが昔からの友人で直接お話を聞く事ができたのがとても助けになりました。Farid役を演じるYayu Unruさんにも多くのご指導とアドバイスをいただきました。
切羽詰まった状況の演技が続いたので、ワークショップ後は毎回ヘトヘトでしたね。最優秀主演男優賞の受賞歴もあるMuhammad Khanさんの演技が凄まじくて。おかげで僕もより深く役に入り込むことができました。
僕自身が最も気に入っているのは映画の予告編にも使われている冒頭のシーンです。マツヤの役に入り込めていい空気感が作れた瞬間で、予告編に使われたこともすごく嬉しいです。Kimo監督らしいシネマトグラフィーにも注目していただきたいですね。
本作は加藤さんにとってどんな作品になりましたか。
まさか一作目がホラー映画になるとは正直思っていませんでしたが(笑)僕の人生において大きなターニングポイントになりました。歌は死ぬまでやるつもりですが、演技もチャンスがあればチャレンジしていきたいです!来年は日尼国交樹立65周年、僕も40歳、インドネシアでの活動10年目という年になります。40を迎える前に映画出演という一つの結果が出せた自分を褒めたいし、チームにも感謝です。一人でも多くの方に劇場に足を運んでいただければ幸いです!
ミュージシャン・俳優・MC・翻訳家。東京外国語大学インドネシア語専攻卒。 2014年より拠点をジャカルタに移し、2017年に1stアルバムをリリース。数々のTV・イベント出演する他、アジア競技大会2018の公式テーマソングの訳詞・歌唱、ベストセラー小説「虹の少年たち(Laskar Pelangi)」の翻訳を手掛けるなど、インドネシアのエンタテインメントシーンで幅広く活動している。2021年4月、長年両国の友好関係や理解促進等に貢献した個人や団体に贈られる在外公館長表彰を受賞。