ジョコ・ウィドド大統領は7月25日から29日にかけて日本、中国、韓国の東アジア3カ国へ訪問した。
今回の歴訪は5月の米国、アラブ首長国連邦、6月のドイツ、ウクライナ、ロシアに続くもので、最近外遊が目立っている。
今回の訪問について毎日新聞は7月31日の紙面で「ジョコ大統領G20行脚 米露対立の陰 成功は『責務』」との見出しで分析記事を掲載した。
要は今回の日中韓の訪問を含めて5月以降の歴訪は、ウクライナを除いて全て11月にバリ島で開催される主要20カ国・地域(G20)首脳会議のメンバー国である。
ウクライナは議長国インドネシアがゲストとして招待、ウクライナのゼレンスキー大統領は「対応は他の出席者による」として、参加を表明しているロシアのプーチン大統領次第であるとの態度を表明したという。プーチン大統領の出席には米国も異を唱えており、首脳会議の議場からの退席、共同声明の不採択などの波乱が予想されている。
良くてゼレンスキー大統領のオンラインでのビデオ参加か最悪は参加拒否というシナリオが有力だという。
こうした報道の一方で英字紙「ジャカルタ・グローブ」は7月29日に「ジョコウィ大統領、日本と韓国から119億ドルの投資を持ち帰った」との見出しで経済支援の面において大きな成果を上げたと評価した。日韓からの投資は電気自動開発や基本資材その他の産業に当てられるとしている。ジョコ・ウィドド大統領は日本からの投資に感謝の気持ちを表すと同時に「日本の投資家はインドネシアでの競争性に着目してさらなる投資で他国の投資家に勝ってほしい」としたうえで「短期的には高品質、競争できる価格を期待している。インドネシアは依然として最高の投資先の一つと信じている」と述べたと伝えている。
しっかりとG20の成功への道筋をつけながらも、各国からの投資や今後の展望を引き出すジョコ・ウィドド大統領の不屈ともいえる外交戦術は、国民にとって頼もしく映っているのかもしれない。
日本の新聞が「G20」を軸に報道しているのに対し、地元紙は「投資を持ち帰った」と歓迎していのだ。このギャップはインドネシアの「もらえるものはどこからでもいくらでも頂く」という「したたか外交」に起因するものといえるだろう。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。ジャカルタ在住。