インドネシア政府と中央銀行は、独立77周年を迎えた8月17日に、7種の新紙幣の発行を開始した。メインイメージは維持しつつ、色の鮮明化、安全性の強化、素材の耐久性の向上を図った。これまで流通していた2016年版紙幣は引き続き使用可能である。
今回発行が開始となった2022年版紙幣は、1000ルピア、2000ルピア、5000ルピア、1万ルピア、2万ルピア、5万ルピア、10万ルピアの7種類。歴史専門家、経済学者、市民の代表、視覚障がい者など様々な立場の人の意見を基に設計された。
紙幣の色については、コントラストを上げより鮮やかにすることで、各紙幣を識別しやすくした。以前は、特に暗い場所では2000ルピアと2万ルピアの区別が非常に難しかった。
素材としては、綿由来の繊維が使用される。綿は、インドネシアでよくある紙幣への落書きや、アイロンがけ、服のポケットに入れるなど文化とも言える行動習慣に対して耐性をもつ。以前から綿由来の繊維が使用されていたものの、実際に触ると質の向上を感じられるという。
サイズに関しては、視覚障がい者が各紙幣をより識別しやすくするために、横の長さが5ミリ間隔で設計された。10万ルピアのサイズは変わらず、5万ルピア以降は横の長さが5ミリずつ短くなる。最も金額が小さい1000ルピアは、以前より2センチも短くなっており、その違いは明らかである。
またデザインについては、表面中央に国民的英雄を配置し、インドネシアを象徴するパンチャシラや美しい自然などのモチーフを透かしや裏面などに使用するというメインデザインは変わらない。しかしながら、表面右側・下部にあった帯ラインが削除されたり、表面左側へ花のモチーフが追加されるなど変更点もあり、見比べてみるのも面白い。
早速、新紙幣を求めて行列ができている交換所もあるという。