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プラボウォ氏が立候補を表明2024年の大統領選に向け

プラボウォ・スビアント国防相が8月13日、2024年の大統領選への立候補を表明した。これまで何度も立候補への動きが報じられたが、ついにというかやっとというか、「正式」に立候補者として選挙戦に臨む方針を明らかにしたのだった。

これはプラボウォ氏が党首を務める「グリンドラ党」とイスラム政党でもある「国民覚醒党(PKB)」による連立を決めた合同党大会の場で両党からの要請を受ける形で表明したもので、PKB党首のムハイミン・イスカンダール氏がプラボウォ氏とペアを組む副大統領の候補として立候補する。

これまで各種の世論調査で「最も次期大統領に相応しい人物」として常にトップの人気と支持を集めていたプラボウォ氏だけに、次期大統領に最も近い最有力候補者と現段階ではいえるだろう。

前回2019年の大統領選でジョコ・ウィドド大統領に僅差で敗北したプラボウォ氏をジョコ・ウィドド大統領は国防相として閣内に迎えた。これは国会議席の約14%を占める「グリンドラ党」を取り込んで与党を圧倒的多数にすることで議会運営そして政権運営をより安定化させたいというジョコ・ウィドド大統領の戦略だった。

しかしそれは逆を返せばジョコ・ウィドド大統領の政治力不足や自信が盤石でないことなどの表れとみなされた。

プラボウォ氏は「10年間のライバルだったジョコ・ウィドド大統領は私を閣僚として招いてくれた。こんな国は他にないだろう。彼は政治的手腕、知恵に秀でた政治家だ」とジョコ・ウィドド大統領を高く持ち上げた。「昨日の敵は今日の友」という訳だ。

これに対しジョコ・ウィドド大統領は「閣僚が大統領選に立候補することを阻止する権限は私にはない」としたうえで「ダメとは言えない以上は反対しない、祝福する」と述べるに留まった。

今後は最大与党の「闘争民主党(PDIP)」さらに与党の「ゴルカル党」がそれぞれ独自の大統領候補を立候補させ、対抗する少数派だが野党勢力も同じように候補者を出して、大統領候補の顔ぶれが揃うことになる。

ただ前回の大統領選で34州のうち12州でジョコ・ウィドド大統領に勝利したプラボウォ氏の人気と支持はスマトラ島、スラウェシ島などで圧倒的で、ジャカルタ周辺の西ジャワ州では僅差で勝利した。このため他党が擁立する候補者はいずれも苦戦が予想される。

執筆:大塚 智彦
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞シンガポール支局長などを経て2016年からフリーに。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。ジャカルタ在住。
※本コラムは筆者の個人的見解を示すものであり、PT KiuPlat Media社の公式見解を反映しているものではありません。