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PANが大統領選候補者9人選出 すでに熱い政治の季節に突入

「国民信託党(PAN)」は8月27日、2024年の大統領戦に向けた候補者9人を選出した。

PANは「ゴルカル党」、「開発統一党(PPP)」と共に「統一インドネシア連合」という共闘を組んで大統領選に臨む姿勢を示しており、幅広い人選で9人を選び、今後この中から絞り込みを図ることにしているという。

ズルキフリ・ハッサンPAN党首によると、9候補はズルキフリ党首自身のほかに「ゴルカル党」のアイルランガ・ハルタルト党首、スハルソ・モノアルファPPP党首、「闘争民主党(PDIP)」のプアン・マハラニ国会議長の4人の政党関係者とガンジャル・プラノウォ中ジャワ州知事、リドワン・カミル西ジャワ州知事、ジャカルタのアニス・バスウェダン州知事、ホフィファ・インダル・パラワンサ東ジャワ州知事の4州知事、さらに実業家のエリック・トヒル国営企業相の計9人となっている。

なんとなくオールスター全員の名前が挙がっているという感じで、誰が最終的にPANそして「統一インドネシア連合」の候補になってもおかしくはない。

ただ前回2014年の大統領選ではPAN党首で副大統領候補だったハッタ・ラジャサ氏とペアを組んで大統領候補として善戦、僅差でジョコ・ウィドド大統領に敗北した「グリンドラ党」党首のプラボウォ・スビアント国防相の名前は挙がっていない。

プラボウォ国防相はすでに「国民覚醒党(PKB)」と連合を組んでPKBのムハイミン・イスカンダール党首を副大統領候補として(未確定だが)ペアを組んで大統領選への出馬に早々と名乗りを上げている。

前回、前前回の大統領選で念願を果たせなかったプラボウォ国防相にとって2024年は「三度目の正直」を目指した挑戦となる。

これまでの各種世論調査ではプラボウォ国防相は常にトップを走っており、「二度あることは三度ある」とはならない可能性が現時点では高い。このため今回のPANによる9人の選出は「プラボウォ国防相」に勝てる候補者ペアへの絞り込みが焦点となるのは間違いないといえる。

2023年10月の正副大統領選候補者の届け出にはまだ1年以上の時間があるが、インドネシアはすでに熱い政治の季節に向かって今後合従連衡が激化しそうだ。コロナ感染対策、物価安定、G20会議、警察改革など難問は山積しているというのに、である。

執筆:大塚 智彦
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞シンガポール支局長などを経て2016年からフリーに。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。
※本コラムは筆者の個人的見解を示すものであり、PT KiuPlat Media社の公式見解を反映しているものではありません。