インドネシアにおけるテロ犯の再犯率は非常に高い。2002年から2020年の間に刑務所から釈放されたテロ犯受刑者のうち11.39%にあたる94人が、その後テロ活動を再び行っている。参考までに、ヨーロッパではテロ犯の再犯率は2〜7%である。
今年12月7日に西ジャワ州バンドンのアスタナ・アンヤル警察署で起きた自爆テロ事件の実行犯、アグス・スジャトノ容疑者もまた、テロの再犯者であることがわかっている。今回の事件では、警察官1人が死亡し11人が負傷した。
アグス容疑者はイスラム国(IS)を支持するインドネシアの過激派組織「ジャマア・アンシャルット・ダウラ(JAD)」のメンバーで、2017年にテロ行為に関与したとして有罪判決を受け、4年間服役していた。
日本人を含む202人が死亡した2002年のバリ爆破テロ以降、インドネシアは過激主義の根絶に努めてきた。しかし、今回のバンドンのテロ事件は、バリ島のテロ事件後に国を揺るがした14回目のテロ行為となっただけでなく、テロ犯の再犯問題を浮き彫りにした。
再犯率の高さの一因には、テロ行為の受刑者が脱過激派プログラムに参加しなかったことが挙げられる。インドネシアでは刑法上、脱過激派プログラムを受けることは強制ではない。それ故に、受刑者はこのプログラムへ参加することで仲間たちから背教者というレッテルを貼られることを恐れている。アグス容疑者もまた、以前の服役中に脱過激派プログラムへの参加を拒否したひとりであった。
この他にも、服役中に経済的に家族を支えてくれたテロリストネットワークから釈放後も離脱できないことや、元受刑者の監視に対する政府の資金不足など、テロ犯の再犯率の高さにはインドネシアの複雑な要因が存在している。ヨーロッパを参考にすると、これらの問題には政府だけでなく、ソーシャルワーカーなど非政府機関も関与しながら対処する必要がある。