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アニス氏がプラボウォ氏を逆転 大統領選の世論調査で躍進

2024年2月に予定される大統領選に関する2022年12月の世論調査で、アニス・バスウェダン前ジャカルタ特別州知事がプラボウォ・スビアント国防相を抜いて2位に躍進したことがわかった。

2022年前半はプラボウォ国防相が各種世論調査で常にトップを占めて盤石の支持と思われていた。「闘争民主党(PDIP)」の党員であるガンジャル・プラノウォ中部ジャワ州知事が「大統領選への準備はできている」とすると一気に支持が強まり、以後はほぼガンジャル知事、プラボウォ国防相、アニス前知事の順位で三つ巴状態が繰り返された。

ところが民間調査機関SMCRの12月の世論調査で3位に甘んじることが多かったアニス前知事が18,6%、プラボウォ国防相の16,8%と逆転した。ちなみにガンジャル知事は26,5%でトップを守った。

こうした「逆転」の要因についてマスコミなどはプラボウォ国防相が閣僚としての職務、責任から大統領選に関する動きも制約される一方で2022年10月に知事を退任したアニス前知事は時間的制約もなく、自由に全国を行脚してPR戦を展開、有権者と直接対話、対面することで支持を伸ばすことが可能であることが大きい、と分析している。

ただそれだけでなく人権団体などによるプラボウォ国防相のスハルト政権時代の人権侵害という闇の存在や過去2度の大統領選で苦杯を飲んだことによる新鮮味の欠如も「逆風」になっているとの見方もある。

その点アニス前知事と同様にガンジャル知事も大統領選への挑戦は初めてという新鮮味が魅力となっているという。

ただガンジャル知事は所属するPDIPのメガワティ党首が候補者指名に難色を示しているとされることから正式に名乗りを上げられないというジレンマを抱えている。

大統領選には若者や女性に人気のあるサンディアガ・ウノ観光創造経済相も新たに名乗りを上げて「参戦」するなど投票まで1年以上あるにも関わらず動きは活発化している。

2023年には候補者の届け出〆切も行われ、大統領候補者と副大統領候補者のペアリングや各政党による合従連衡の動きが激しくなるのは確実とみられている。

今後新たに名乗りを上げたり推薦を受けたりする候補者が出てくることも十分に予想され、波乱含みの1年となるのは間違いなく、それに乗じた騒乱やテロへの警戒も必要だ。

執筆:大塚 智彦
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞シンガポール支局長などを経て2016年からフリーに。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。
※本コラムは筆者の個人的見解を示すものであり、PT KiuPlat Media社の公式見解を反映しているものではありません。