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オランダが奴隷制を謝罪も インドネシアの反応は冷ややか

オランダのマルク・ルッテ首相が、12月19日にかつて250年間行われていたオランダの奴隷制を「とても非人道的で不当な犯罪システム」と表現し、謝罪を述べた。20分間の演説の中では、主にカリブ海地域にある旧植民地の7つの国・州について述べられ、インドネシアについては「66万人から100万人以上の人々がオランダ東インド会社(VOC)の権限の下で地域内で取引されていた」と認めた以外は、はっきりと言及されなかった。これに対して、一部のメディアはインドネシアへの謝罪を示唆していると報じたものの、インドネシア政府はそうではないと捉えているようだ。

まず、マルフ・アミン副大統領は23日、もしオランダが心から謝罪したいのであれば、正式にインドネシア政府に伝えなければならないとコメントした。オランダは過去2回、2020年と22年に暴力や残虐行為についてインドネシアへ謝罪を行っている。しかし、いずれも公式な外交的コミュニケーションではなかったためインドネシアは返答を行っていない。マルフ・アミン副大統領は、もしオランダから正式な外交文書があれば、インドネシアもそれについて議論し返答すると述べている。

また、国会第1委員会のTBハサヌディン氏によると、今回のオランダの演説がカリブ海地域への閣僚訪問に先立って行われたことから、ルッテ首相の政治的戦略であると政府は考えているという。あるいは、演説ではいくつかの旧植民地地域における社会的な取り組みのための大々的な基金を発表した一方で、ルッテ首相は旧植民地地域との直接の協議を拒否しており、謝罪演説は賠償請求の可能性を避けるための戦略とも言われている。

オランダには植民地時代に略奪されたインドネシアの貴重な文化財が現在でも保管されており、単なる謝罪以上のものを求める声も上がっている。