欧米では浸透している「買い物は投票」という考え方。私たちの日常の小さな選択のひとつひとつが環境や未来に大きな変化を生むという意識が、日本でも確実に高まっている。一杯のコーヒーの背景にある生産者の苦悩、努力、社会課題への取り組みを知ることは、消費者の権利であり責任でもある。
日本進出を間近に控えた「LE GAYO COFFEE」の創業者に、商品ならびにアチェの地元農家への思い入れ、企業としての取り組みについて聞いた。
注1:スペシャルティコーヒー:産地個性や情報の透明性があり風味が素晴らしいコーヒー。アメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)が定めた評価基準・手順に従い80点以上を獲得した豆のみがスペシャルティコーヒーと認められる
注2:Qグレーダー:スペシャルティコーヒー協会が定めた評価基準・手順に従ってコーヒーの品質の評価ができると認められた国際資格を有する技能者
注3:ナチュラル(乾燥式):コーヒーチェリーを果実のまま乾燥させる方法
ウォッシュド(水洗式):コーヒーチェリーの果肉と粘質物(ミューシレージ)を除去した状態で乾燥させる方法。機械を使って果肉を除去したのち、水を使って粘質物を洗い流す
セミウォッシュド(半水洗式):果肉を除去し、粘質物を残した状態で乾燥させる方法。パルプドナチュラルと同じ
ハニー:精製方法は、パルプドナチュラルと同じ。粘質物を残す度合いによってホワイトハニー、イエローハニー、レッドハニー、ブラックハニーと細分化される
(参考:https://www.kohikobo.co.jp/pedia/162/)
2つ目は、育てている品種。ブルボン種、ティピカ種、アテン種、ハイブリッド・デ・ティモール種など、ガヨの気候や地質に適した品種を育てている農園を選んでいます。
3つ目は農園の成熟度。コーヒーの木は植え付けから5〜20年目頃が収穫の最盛期となります。その農園が最盛期を迎えているか、品質が安定しているかをチェックしています。4つ目は生産性。適切な規模、健康な運営で、安定した供給が可能かどうかも大切なポイントです。
2つ目はサステナビリティ。精製処理過程では、除去される大量の果皮、果肉、パーチメントが廃棄物となりますが、その廃棄物を水質汚染や土壌の酸化といった環境への影響を省みずに、川や空き地に投棄する業者もあるのが現状です。弊社では精製処理過程で発生する廃棄物を保管し、バクテリアを加えて堆肥化し、農家に配布しています。廃棄物を堆肥としてリサイクルすることで、農家の経費削減に貢献するとともに、化学肥料の使用量低減も可能にしています。
3つ目は女性の社会的地位の向上。ガヨには収穫期に得られる収入に極端に依存し、それ以外の時期は借金で生計を立てる農家が多く、その結果収穫期の収入は借金の返済に費やされ、実質的な収入とならないという悪循環が問題となっています。年間を通して自立した生活を維持できるように改善するための長期的支援策として、雇用機会を増やすことに着目しました。チェリーの収穫、チェリーの収穫段階での選別、精製処理後の豆の選別の3つの作業を、外部からの季節労働者や業者に委託するのではなく、地元農家の家族の女性たちに任せて彼らの収入源を増やすことで、少しずつですが経済状況の改善がみられるようになりました。彼女たちは業者よりも作業が丁寧なので、私たちも助けられています。4つ目は直接販売と公正な取引です。各地に拠点を置き、お客様に商品を直接お届けすることで中間マージンを抑え、市場価格より10〜15%高値で農家からチェリーを買い取り、生産者にとっても公正な流通構造を確立することを目指しています。
企業情報
運営組織 | LE GAYO COFFEE |
Webサイト |
公式サイト https://legayocoffee.com/ 日本向けECサイト https://legayocoffee.jp/ |
インスタグラム | @legayocoffee.jp |
LEGAYO COFFEE 創業者/CEO
スマトラメダン出身。テキサス大学オースティン校卒業、地質学修士号取得。石油・ガス会社で探鉱地質学者として15年以上勤務。趣味は旅行で、旅行とコーヒー愛好家妻のRaphaelleと共にコーヒー事業を営む。