ジャカルタ最大規模の古着市場であるパサール・スネンの一角では、2015年に政府が中古衣料品の輸入を禁止して以降も、密輸された海外の古着、つまり違法品が当たり前のように販売されている。地元のビジネス紙Bisnisの取材で、古着を売る商人たちはその違法性を認識していることが分かった。
その上で、古着の供給元である輸入業者が、輸入に関わる税関や物品取引所などの関係者と数十年前から繋がっており、これまで一度も当局の取り締まりを受けたことがないため、安全だと考えていることが明らかになった。
ひとりの商人によると、パサールスネンで売られている古着のほとんどがシンガポール、韓国、日本から来たもので、到着後に選別、クリーニングを経て1着1~15万ルピアで販売される。若者を中心に、中古品を購入する「スリフティング(thrifting)」というショッピングスタイルへの関心が高まる中で、パサール・スネンの各古着店の売上は、月に数億ルピアに上ることもあるという。
また、Bisnisの取材班は、古着を購入する一般消費者にもその違法性について認識の有無をインタビューした。全ての消費者が海外製の古着が違法に輸入されたものであると認識しているわけではなかったが、一部の認識している消費者からは「外国製の方が品質が良く、古着でも長持ちするため、違法であることは気にしていない」「パサール・スネンでの違法古着の現状はすでに公然の秘密で、問題はない。消費者にとって大事なのは安くて快適なこと」といった声が上がった。
一方、税関当局は、職員と輸入業者との間の「繋がり」について対処しきれていない。西から東まで広大な領土を持ち、近隣諸国との陸上国境も持つインドネシアでは、中古品の輸入を監視することは一筋縄ではいかないという。