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またぞろ日本頼みをどう読む 新首都へ投資、鉄道車両提供

インドネシアにとって日本は相当頼りにされているのか、都合のいい相談相手なのか、このところ日本頼みが再び目立ち始めているような気がする。

まず政府が進めているカリマンタン島中部への首都移転計画で、ブディ・カルヤ・スマディ運輸相が2月に訪日して日本企業関係者へ「新首都のインフラ整備への投資」を呼びかけたのだった。

新首都移転計画では当初大規模投資を表明していたソフトバンクの孫正義氏が突然投資中止を表明した際、インドネシア側は中国などに投資を呼びかけるとして「痛手」でないことを装った。しかし財政当局は想定外の事態に頭を抱えてたという。

そもそ財政的裏付けの目途が立たないまま「見切り発車」した同計画。ブディ運輸相が「費用が巨額で国家予算以外の資金源が必要」と日本企業に呼び掛けたのも、そうした「台所事情」が反映しているものといわれている。

投資対象としてはバスや鉄道などの交通機関、空港整備、観光埠頭やコンテナ港建設などがあり「ぜひ現地見学を」と呼びかけた。

ブディ運輸相による今回の投資呼び掛けだが、日本企業もおいそれと乗る訳にもいかず種々のリスクを計算しているという。

さらにジャカルタ近郊通勤鉄道などで使用している車両が2023年に用廃(用途廃止)になり不足することため日本から中古の車両を少なくとも10両導入したいとの意向を3月にルフト・パンジャイタン調整相が記者団に表明した。

インドネシアの鉄道問題ではジャカルタ~バンドン間高速鉄道計画の入札で日本が煮え湯を飲まされた経緯があるものの、現在もジャカルタ~スラバヤを結ぶ横断鉄道の改良計画では日本が技術協力をするなど密接な関係が続いている。

ただ、日本からの中古車両を導入しても用廃の時期はそう遠くなく、また現在使用中の他の車両も今後順次用廃となるため「根本的な解決」にはならないとの見方がある。

思い切って日本の技術協力でインドネシアで国産車両を製造する道を探ってはどうだろうかとも考える。

こうしたことから、なんとなく切羽詰まったり困ったりしたら「日本に頼る」というインドネシアの姿勢が見え隠れする。それは日本を甘く見ているというより「経済、技術大国」として期待を寄せているからだと思いたい。「困った時の友こそ真の友」だからだ。

執筆:大塚 智彦
1957年生、毎日新聞ジャカルタ支局長、産経新聞シンガポール支局長などを経て2016年からフリーに。
月刊誌やネット版ニューズウィーク、JBPress、現代ビジネス、東洋経済オンライン、Japan in depth などにインドネシアや東南アジア情勢を執筆。
※本コラムは筆者の個人的見解を示すものであり、PT KiuPlat Media社の公式見解を反映しているものではありません。