電子たばこ(VAPE)が初めてインドネシアに登場しておよそ10年、特に若者の間で利用者が急増し、2021年時点で630万人のインドネシア人が電子たばこを使用していると推定されている。
インドネシアではニコチン入りのリキッドを含め、電子たばこの流通・販売はほとんど規制されないままここまできた。シンガポール、カンボジア、ブルネイ、タイが電子たばこを全面的に禁止しているのとは対照的に、東南アジアで唯一、電子たばこの流通・販売を規制していない国である。(日本では国内でのニコチン入りリキッドの販売が禁止されている。)
そんな中、医師や健康団体は健康に関するオムニバス法案に電子たばこの規制を盛り込むよう要請している。従来のたばこよりもニコチン濃度が低いものがあるとは言え、たばこと同様に広告の時間制限やパッケージでの警告などの規制を電子たばこにも課すべきだと政府に求めている。現行法では、従来のたばこのテレビやラジオの広告は、午後9時半から午前5時の間だけと定められており、また、製品パッケージの40%に健康に関する警告を載せなけらばならず、18歳未満への販売も禁止されている。
禁煙補助ツールとしての側面でみると、電子たばこは有害な一酸化炭素やタールを発生させないことから、たばこの代替手段として支持されることもある。しかしながら、世界保健機関(WHO)が使用を推奨していない上に、中央統計局の調査によれば、インドネシアの電子たばこユーザーのうち驚異の96%が従来のたばこも吸っていることが判明しており、禁煙補助ツールとしての有効性にも疑問が残されている。