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若者のシンガポール移住が増加 「頭脳流出」が懸念

インドネシアでは、25歳から35歳の若者がシンガポールに移住する波が押し寄せている。

入国管理局が7月に発表したデータによると、2019年から2022年にかけてインドネシアからシンガポールへの移住者は4000人に達した。年別にみると、直近の2022年は1091人が新たに移住を決定し、2020年のおよそ800人を上回る数字だった。その多くはシンガポールで仕事の機会を得たり、より良い福祉環境を求めて移住している。
このニュースはSNS上で波紋を呼んでおり、移住者の考えを支持する一方で「頭脳流出(brain drain)」を懸念する声もある。

シンガポールの有名公立大学で、情報システムの修士課程を修了したバンテン州タンゲラン出身の男性(24)は「まだ就職活動中ですが、仕事が見つかればそのまま就職し、シンガポールに住み続けるつもりです」と語った。この男性がシンガポールで探しているIT分野の仕事は、インドネシア最大手のIT企業と比べはるかに給料が高いのが現状である。

ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領も、8月4日に行われた政府の教育基金の受賞式において、受賞者の学生らに対し「インドネシアの賃金は低いかもしれない。海外の施設の方がきれいかもしれない」と述べつつも、それでも帰国してほしいと呼びかけていた。

インドネシアは独立から100年後の2045年までに、先進国の仲間入りを果たすというビジョンを掲げている。技術をもった若者はインドネシアの長期的な発展に不可欠であり、このような議論の中、インドネシア人学生や市民団体から「二重国籍」を認めるよう求める声も上がり始めている。

シンガポールで修士課程を修了した男性も「もしインドネシアに二重国籍の制度があれば、海外で働きながら学術面でインドネシアに貢献できる。この制度は海外で働く私のような人にとっても、国にとっても有益だ」と述べている。