東ジャワ州クディリに1925年頃から存在するといわれているイカット織り(絣(かすり)織)は、現在でも観光客を魅了する文化遺産である。クディリのイカット織りセンターでは、複雑な製造過程、品質、文化的価値を維持する職人たちの献身的な姿勢を尊重しつつ、伝統と革新を織り交ぜた文化観光地に発展するための取り組みが進められている。
まずは環境への影響を軽減するために、着色には樹皮、葉、地元の果物などの天然素材のみを使用している。天然素材を使用することで柔らかく独特な色合いの織物に仕上がる。次に経済的価値を高めるために、若い世代の好みや流行をリサーチし、バッグ、靴、アクセサリーなど、新商品の開発を進めている。職人たちは伝統的なイカット織りの持続可能性を確保するためにはマーケティング戦略も必要だと不安な声を漏らす。
このような状況下で注目されるのが、マラン州立大学との連携により実施されているコミュニティーサービスプログラム。同プログラムでは文部科学省高等教育研究技術総局社会サービス局の支援のもと、イカット織りの商品の多様化と電子商取引の最適化に取り組んでいる。マラン国立大学のメガサリ教授は「イカット織りが文化遺産になるだけでなく、地域社会の持続可能な生計の源になることを望んでいます」と話す。