来る2月19日に開催される「ASEANブルーイノベーションEXPO&ビジネスマッチング」の見どころと特典をご紹介いただきました。この貴重な機会をお見逃しなく!
話者プロフィール
ブルーエコノミーセクター・テクニカルスペシャリスト 岡本聡子
(写真左)
常駐代表 下村憲正
(写真右)
インタビュー本文
――「ASEANブルーエコノミー・イノベーション・プロジェクト」についてご説明ください。
国連開発計画(UNDP)インドネシア事務所 常駐代表 下村憲正 氏(以下 下村 氏):
2023年の日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議にて発表された共同ビジョン・ステートメント、ならびに同年にASEANで採択された「ブルーエコノミーフレームワーク」を受け、日本政府の拠出を得て、国連開発計画インドネシア(以下UNDPインドネシア)が実施する「ASEANブルーエコノミー・イノベーション・プロジェクト」が始動しました。
このプロジェクトでは「ASEANブルー・イノベーション・チャレンジ」と題し、「持続可能な水産業」「海洋プラスチック問題の解決策」「持続可能な観光」「気候変動から生じる問題の解決策」の4つを柱に、ブルー経済に関する様々な問題に対するソリューションを公募したところ、ASEAN加盟国の10カ国全てと東ティモールをベースとする1341団体からの応募があり、選出した60団体を対象にインキュベーションのサポートを提供しています。
――インドネシアの海洋経済における課題は?
下村 氏:
ブルー経済は「持続可能な開発目標(SDGs)」を支える3柱である経済・社会・環境のすべてに大きな影響を与えています。世界第2位の漁獲生産高を誇るインドネシアの海洋経済はインドネシアの経済の7.6%を占め、漁業だけでも約700万の雇用(うち42%が女性)を創出しています。しかし漁業従事者の96%が小規模従事者であり、インフラや技術不足に起因する食品ロス→所得の減少→乱獲→海洋資源の減少という悪循環が生じています。経済的問題はそのまま社会問題として跳ね返っており、一部の離島地域では貧困率は25%、発育阻害率は30%を超えるといわれています。
――UNDPはどのようにインドネシアまたASEAN地域でブルー経済の実現に寄与していますか?
下村 氏:
UNDPはブルー経済の分野だけでも世界100の地域と国で展開しており、過去数十年にわたり、10億米ドル以上の投資をしてきました。ここインドネシアでは、インドネシア政府が主導する群島・島嶼国フォーラムの事務局も運営し、海洋プラスチックやスタートアップ支援などを行っています。特にブルーファイナンスの分野では、例えばインドネシアの財務省が円建ての「ブルー国債」を発行し、これまでに500億円程度を調達するお手伝いをしました。
――「ASEANブルーイノベーションEXPO&ビジネスマッチング」について教えてください。
国連開発計画(UNDP)インドネシア事務所
ブルーエコノミーセクター・テクニカルスペシャリスト 岡本聡子氏(以下 岡本 氏):
イベントには、「ASEANブルー・イノベーション・チャレンジ」を受賞した60機関をはじめ、一般企業、インパクト投資機関(VC)、開発機関、財団、政府機関の関係者が参加します。このような方々に向けて、ビジネスマッチングと知識共有の場を提供することを目的に企画しました。11か国から集まるスタートアップ企業と直接対話することで、東南アジアのブルー経済の知見のみならず、新しい技術、ビジネスモデル、多様な市場に関する情報、官民連携の経済協力に関する流れも掴んでいただけるかと思います。皆様とネットワークが構築できるこの機会をぜひご活用ください。
また、日本企業様向けの特典として、会場内にジャパンデスクを設置するほか、日本語でのガイド付き展示ツアーや、日本企業の皆様もご参加いただける夕食会を実施いたします。ご希望があれば、特定の企業様との個別面談の機会も調整いたします。
下村 氏:
目的の一つにASEANのイノベーターが、日本の方々から様々なことを学ぶ機会を作ることがありますが、同時に日本側にもASEANにおけるイノベーションや中小零細企業の動き、考えを知る機会を提供することも目指しています。これを機に将来的には投資やパートナーシップの機会が生まれ、ASEAN諸国と日本の間でwin-winの関係が築かれることを期待しています。
イベント情報
タイムスケジュール
9:00〜11:35 パートI:インスピレーショントーク&ガイド付き展示ツアー
- プロジェクトのビジョンを築いた政府機関関係者によるインスピレーショントーク
- ストーリーテリング形式での受賞60機関の紹介
- リバースピッチング(ブルー経済の課題に取り組む企業および投資家によるパネルセッション)
※日本語でのガイド付き展示ツアーへのご参加をご希望される方は、岡本までご連絡ください。(WA:+62-821-2859-6420)
11:35〜12:45 ランチ
13:00〜16:20 パートII: ピッチコンテスト
- 受賞60機関がそれぞれ3-5分間のピッチを実施。その後、質疑応答。
- 3つのストリームに分かれており、参加者は最大20機関のピッチを聴講可能。
- テーマ:漁業DX、漁業バイオテクノロジー、プラスチックの代替品や廃棄物処理のデジタル化、 クリーンエネルギー、工業汚水処理DX、ブルーカーボンを含めた炭素クレジット、プラスチッククレジット(※注)など
※注:プラスチッククレジットは、炭素クレジットと同様に、組織がプラスチック廃棄物の削減や回収に貢献するために購入できる市場メカニズムです。自主規制を含むプラスチック規制の実施に関する議論が進む中、炭素クレジットに続く新たな環境金融商品として、活発化の兆しを見せています
16:20〜17:00 パートIII: クロージング
18:00〜20:00 夕食会
- 日本企業の皆様も対象にした夕食会。受賞60機関だけでなく、ASEANからの企業およびインパクト投資機関(VC)の関係者が参加します。(ジャカルタのレストランにて)
※夕食会へのご参加をご希望される方は、岡本までご連絡ください。(WA:+62-821-2859-6420)
基本情報
名称 | United Nations Development Programme Indonesia 国連開発計画インドネシア |
住所 | Jl. MH. Thamrin Kav. 3 Kebon Sirih Menteng, Kb. Sirih, Kec. Menteng, Jakarta Pusat 10250 |
ホームページ | https://www.undp.org/indonesia |
イベント申込 | https://www.undp.org/indonesia/asean-blue-innovation-challenge |
ジャパンデスク | +62-821-2859-6420(岡本) satoko.okamoto@undp.org(岡本) |
開催日: 2025年2月19日(水)
会場: Menara Mandiriアッセンブリーホール
(Jalan Jenderal Sudirman Kav 54-55, Jakarta)