東ジャワで生まれ発展した伝統影絵芝居「ワヤン・クリ」の物語と登場人物はインドネシア社会、特にジャワ人の文化や宗教と密接に結びついている。代表的な演目であるインドの古典文学「ラーマーヤナ」と「マハーバーラタ」も、ジャワの詩人たちによって古代ジャワ語に翻訳されただけでなく、ジャワの哲学を織り込んだ上で語り継がれている。ジャワ人の伝統的な武器「クリス」はムプ族が作った神聖な武器。クリスには呪文がかけられており、魔法の力があると信じられていた。現在でもアクセサリー、収集品として高い価値がある。
ジャワには無形文化遺産に登録された「レオグ・ポノロゴ」や「ガンドゥルン」などの伝統舞踊があり、結婚式、割礼、独立記念日の記念式典など、さまざまな公式行事で頻繁に上演されている。伝統舞踊や影絵芝居とともに「ガムラン」(青銅打楽器を中心としたアンサンブル)などの伝統音楽も発展してきた。ガムランはイスラム教の布教にも使われてきた。西暦700年頃には、20の文字と母音符号(サンダンガン)などの符号を合わせた「ジャワ文字」が使用されていた。また民族宗教「ケジャウェン」もジャワ固有の文化として残っている。ケジャウェンはその哲学にイスラム教、ヒンズー教、キリスト教などの他宗教の概念を取り入れながら発展してきた。